2011 Fiscal Year Research-status Report
データ解析システムにおけるビジュアルプログラミング環境の研究と開発
Project/Area Number |
23700340
|
Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
藤原 丈史 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (60348456)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 統計解析システム / ビジュアル操作環境 / ビジュアルプログラミング / ユーザインタフェース / プログラミング言語 |
Research Abstract |
本研究は,統計解析システムにおいての新しいユーザインタフェースとして,先進的なビジュアル操作環境を実現し,統計学の幅広い発展に寄与することである.従来の統計解析システムの操作環境としてのインタフェースは,CUIとGUIの2つが用いられている.一般的に前者は定型処理や詳細な処理の記述など,どちらかといえばシステムに精通したユーザが利用し,一方後者は探索的な処理やあらかじめひとまとまりになった処理を実行させるなどシステム初心者が利用するものである.ビジュアル操作環境はGUIの一種であり,上記GUIの特徴を有することになるが,本研究ではさらに,従来CUIで得意としていた処理の記述にも踏み込み,これら2つのユーザインタフェースの両方の特長をもたせることを目指している. 本年度は,申請時にすでに開発を行っていたプロトタイプをもとに,実際の統計解析の処理において,どのようなインタフェースが適切で効率的な処理を指示,および構築できるかを検証した.具体的には,既存のさまざまな汎用的なビジュアルプログラミング言語,およびいくつかの統計解析に特化したビジュアル操作環境を精査し,比較検討することで本システムの方向性を定めた.それらの検証においては,データとその処理をいかに客観的に分かりやすく表現,操作できるようにするかが問題となる.これには,従来のビジュアルプログラミング言語等が一方向の側面で表現,操作していたのに対して,本研究では,データ処理の履歴,処理自体の流れ,処理およびデータの静的な関係,という複数の側面で表現,操作が必要があるとの見解をみた.その意味でソフトウェア設計で用いられているUML(Unified Modeling Language)のダイアグラムを応用した操作環境を採用し,システムのベースを設計した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は次年度に向け,実現するシステムの設計を完了させる予定であったが,若干まだ検討の余地を残した.これは現在のコンピュータ環境の変化が劇的であり,とくにタブレット端末に代表されるようなマルチタッチ式のユーザインタフェースなど,さまざまな操作環境が一般的に使われるようになってきたため,このような新しいインタフェースをビジュアルプログラミング環境として導入するかどうか,導入する場合にどのように,またそれがどのような利点や効果をもたらすかを,すでにおこなった設計をベースに再度検討する必要があるためである.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に行った統計解析システムにおけるビジュアル操作環境の精査の結果,すなわち既存の汎用的なビジュアルプログラミング環境,および統計解析システムにおける統計処理の実際について融合した上で,どのような操作環境が統計解析システムに適切で効果的であるかの指針および設計方針をより具体的にまとめる.さらに,上記の「現在までの達成度」にも示したが,現在の普及されつつある新しい操作環境を本研究において導入するかの検討を行い,最終的なシステム設計を行う.その設計を踏まえ,実際に開発言語によるプログラムを実装し,ある程度の統計処理が行えるレベルのシステムの完成を目指す. 最終年度は,システムの完成度を上げるとともに,実証的な統計解析を本研究で開発したシステムで実施し,システムの先進性について客観的な評価を行う.最終的にこれらの結果を含め,国内および海外における学会研究発表および学会誌における投稿をおこない,本研究の成果を国内外に積極的に発信していく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,プロトタイプではなく,実際のシステムを構築および開発することになる.このためには開発を効率的に進めるための高性能なコンピュータシステムは必須であり,この購入設置に使用する.また,適宜バックアップ装置およびバックアップメディアでの保守は,研究をより安全に,かつ着実に進めるために必要である. また,特に本研究の場合は実際の統計分析が使われるさまざまな分野や領域での調査は欠かせない.したがって,システム開発に直接関係する分野だけでなく,幅広い分野での図書や研究学会誌の購入を行い継続的によりよいシステムへの改善を実施する.さらに,学会発表会や研究会の参加での情報収集,研究討議は,より実用的なシステムの開発には欠かせないため,出張旅費に利用する予定である.
|