2011 Fiscal Year Research-status Report
未観察交絡要因があるときの因果推論の方法に関する研究
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23700344
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
千葉 康敬 近畿大学, 医学部, 講師 (80362474)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 因果推論 |
Research Abstract |
すべての交絡要因が観察できればその要因を統計解析で調整することによって因果効果の不偏な推定値を算出することができるが、未観察の交絡要因があると因果効果を不偏に推定することはできない。したがって、いくつかの条件設定の下で因果効果の取り得る範囲を推定する方法、または、感度解析の方法を開発することが重要となる。これが本研究の目的である。 本年度は、重要な疫学指標の1つであるattributable fractionについての感度解析手法を論文として公表した(Epidemiology)。ここで提案した方法の利点は、観察された交絡要因のみを調整する統計解析手法によらずに提案した感度解析手法を用いることができることである。 また、治療不遵守があるときのランダム化試験における因果推論について、因果効果の取り得る範囲を推定する方法を中心にまとめ、本の1つの章として公表した(Health Management)。ここでの議論は治療群が2群のときに限定されている。ここでまとめた結果を、治療群が3群以上の一般的な場合に拡張することが次年度以降の課題となる。 複雑な状況として、中間変数を考慮に入れた統計解析手法の開発も望まれている。本年度は、これまでにわかっている主要層別効果の識別条件をまとめ、editorial paperとして公表した(Journal of Biometrics and Biostatistics)。さらに、未観察交絡要因がなく、単調性が仮定できるという識別条件の下で、周辺構造モデルを用いて主要層別効果を推定する方法を論文として公表した(Biometrical Journal)。この方法を、未観察交絡要因があるときの感度解析手法に発展させることが次年度以降の課題となる。また、いくつかの条件設定の下で主要層別効果の取り得る範囲を推定する方法の開発も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から論文3編を公表することができたことからわかるように、研究はハイペースで進んでいる。しかし、初年度の中心課題である観察研究のセッティングで治療群が3群以上の場合の結果を論文として投稿してはいるが、未だ採択には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次年度の中心課題である治療不遵守があるときのランダム化試験のセッティングで治療群が3群以上の場合を検討する。併せて、次々年度の中心課題である中間変数を考慮に入れた解析(治療群が3群以上の場合)について、まずは治療群が2群の場合を検討し、次々年度にスムーズに移行できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り、全体の75%程度を国際学会発表の資金に充てる予定である。残りを、英文校正等、論文公表に向けた資金に充てる。
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