2012 Fiscal Year Research-status Report
未観察交絡要因があるときの因果推論の方法に関する研究
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23700344
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
千葉 康敬 近畿大学, 医学部, 講師 (80362474)
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Keywords | 因果推論 |
Research Abstract |
平成24年度は、editorial paper 2編を含む論文7編が出版された。このうち6編が筆頭著者論文である。 平成23年度には、治療不遵守があるときのランダム化試験における因果推論について、因果効果の取り得る範囲を推定する方法を中心にまとめた私の本の1つの章が公表されたが、平成24年度には、この内容をさらに発展させた論文2編が公表された。2編とも、主要層別の考え方を応用したもので、理論的に興味深いものとなっている。ただし、ここでの議論は治療群が2群のときに限定されている。ここでまとめた結果を、治療群が3群以上の一般的な場合に拡張することが平成25度以降の課題となる。 主要層別効果自体の研究も進んでおり、いくつかの条件設定の下で主要層別効果の取り得る範囲を提示した論文が公表された。また、平成23年度に、単調性の条件下で周辺構造モデルを用いて主要層別効果を推定する方法を論文として公表しているが、平成24年度には、これに未観察交絡要因があるときの感度解析手法も加えて、editorial paperとしてまとめて公表している。これは、観察研究で曝露の結果への因果効果の推定のために考えたシンプルな手法(平成24年度に公表された私のeditorial paper)の応用である。なお、これらの研究成果が評価され、平成25年度のJoint Statistical Meetingのinvited sessionで発表することになった。主要層別効果についても、ここでまとめた結果を、治療群が3群以上の一般的な場合に拡張することが平成25度以降の課題となる。 ここで議論している主要層別効果の考え方を、「人から人へ感染する」ということも考慮に入れる感染症ワクチンの臨床試験に応用することが、最近議論されている。このような応用について、論文2編を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、editorial paper 2編を含む論文7編が出版された。このことからわかるように、十分な研究成果を上げている。しかし、初年度の中心課題である観察研究のセッティングで治療群が3群以上の場合の結果を論文として投稿してはいるが、未だ採択には至っていない。統計理論を扱う雑誌は査読に時間がかかる。また、順序が変わってしまったが、4年目の研究課題としていた生存時間解析の応用を議論する論文が採択された。4年間で4つの大きな研究課題を掲げ、最初の2年間でそのうちの2つが論文投稿にまで至っているために、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前に述べたように、4年目の研究課題が、完全な形ではないかもしれないが論文としてまとめ、採択に至った。平成25年度は、2年目の研究課題としていた、治療不遵守があるときのランダム化試験のセッティングで治療群が3群以上の場合を検討する。併せて、3年目の研究課題であった、中間変数を考慮に入れた解析(治療群が3群以上の場合)について、まずは治療群が2群の場合を検討し、平成26年度にスムーズに移行できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り、全体の75%程度を国際学会発表の資金に充てる予定である。残りを、英文校正等、論文公表に向けた資金に充てる。
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