2012 Fiscal Year Annual Research Report
微小液滴内のDNA演算反応を利用した動的構成可能なオンチップ分子解析技術
Project/Area Number |
23700362
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20346191)
|
Keywords | DNAコンピュータ / 光ピンセット / 生体生命情報学 / システムオンチップ / 情報システム |
Research Abstract |
本研究は,解析対象となる分子系の処理手続きを動的に構成可能なオンチップの分子解析技術の開発を目的とする.これを実現するため,分子反応空間としてのリポソームの並列光操作技術と,分子情報のその場取得や処理が可能なDNA計算技術を融合した方式を検討した.具体的には以下の成果が得られた. 1.並列光マニピュレーションシステムの構築 ホログラフィック光ピンセットに基づくリポソーム並列操作システムを構築した.本システムでは,必要な光パターンをリアルタイムに設計・生成し,インタラクティブな操作が可能である.少なくとも16個のリポソームに対して自動整列や個別操作が行えることを実証した.また,電気刺激によるリポソーム融合法と組み合わせることにより,特定のリポソームのみを選択的に融合し,それらの内容物をほぼ流出なく混合できることを示した.これにより,対象分子に対する処理手続きの動的構成が可能となった. 2.カラーコードによるリポソーム識別手法の構築 複数種類のリポソームを用いて動的に反応場を構築するためには,それらの識別が必要である.そこで,異なる蛍光波長をもつ3種類の蛍光分子の混合比を調整し,カラー情報によりリポソームを識別する方法を開発した.色相値を中心値に対してプラスマイナス6度許容することで,リポソームを識別できることを示した.これは30種類を識別する能力をもつことを示唆している. 3.リポソーム内DNA論理演算の実証 オンチップの分子解析を想定し,1の手法を用いてリポソーム内でのDNA情報処理を行った.論理演算用DNAを含むリポソームと入力DNAを含むリポソームを融合することにより,局所選択的に入力DNAに対するAND演算やOR演算が実行できることを実証した.
|