2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いたスパインにおけるアクチン制御因子の生理機能解析
Project/Area Number |
23700368
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
葛西 秀俊 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40403232)
|
Keywords | 遺伝子操作マウス / 大脳皮質 / 細胞骨格 / mTOR |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の研究の推進方策に従って、大脳皮質の細胞構築およびスパイン形成におけるmTORシグナルの機能について明らかにすることを試みた。本研究では、細胞外の栄養状態やインスリン刺激に依存せずに高いキナーゼ活性を維持し続ける活性化型mTORを用いて下記の実験を行った。まず、子宮内エレクトロポレーション法によって胎生14日齢の大脳皮質神経細胞に活性型mTORを発現させることによって、大脳皮質の形成におけるmTORシグナルの役割を検証した。その結果、大脳皮質神経細胞におけるmTORシグナリングの活性化によって、神経細胞移動が障害され、細胞のサイズが顕著に増大することを見出した。これらの表現型は、Raptorのノックダウンあるいはラパマイシン投与によってレスキューされることから、mTORC1経路が大脳皮質形成を制御している可能性が示唆された。次に、個体レベルにおいてmTORの重要性を検証するために、Cre-loxP組換え依存的に活性型mTORを発現するトランスジェニックマウスの作製を試みた。Emx1-Creマウスを用いて、終脳特異的に活性型mTORを発現させたところ、成熟マウスにおいて大脳皮質の大きさが著しく縮小することを見出した。この委縮は胎生12日齢において既に認められ、cleaved caspase 3陽性の細胞が数多く観察された。このことから、胎生期におけるmTORシグナルの活性化は神経前駆細胞のアポトーシスを引き起こすことが示された。以上の結果より、大脳皮質形成期においてmTORシグナルは、神経細胞の移動・サイズ制御・生存に重要な役割を担っていることを明らかにすることができた。
|
Research Products
(5 results)