2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症で異常蓄積するTDP-43によるRNA代謝制御の解析
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23700455
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
築地 仁美 独立行政法人理化学研究所, 運動ニューロン変性研究チーム, 研究員 (40455358)
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Keywords | ALS / TDP-43 / スプライソソーム / snRNA / SMN / SMA / FUS / RNA代謝 |
Research Abstract |
筋萎縮側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis (ALS) は運動ニューロンが選択的に変性し脱落する成人発症の神経疾患である。そのほとんどを占める孤発性ALSでは、RNA結合蛋白質TDP-43が運動ニューロンの核から消失し細胞質で異常な凝集体を形成している。RNA結合蛋白質FUS/TLSも細胞質での凝集体形成が報告されている。更にTDP-43とFUS/TLSの変異が家族性ALSで見つかったため、TDP-43やFUS/TLSの異常はALSを発症させる直接の原因となっている。我々は、TDP-43とFUS/TLSが、小児発症の脊髄運動神経変性疾患である脊髄性筋萎縮症spinal muscular atrophy (SMA) の原因蛋白質 survival of motor neuron (SMN)と複合体を作り、核内構造体であるGemに局在すること、孤発性ALS運動ニューロンではTDP-43の異常に伴いGemが減少し、スプライシング反応を担うスプライソソームの構成因子 small nuclear ribonucleoproteins (snRNPs)が異常に蓄積していることを見いだした。SMAの発症原因もSMNの発現減少に伴うsnRNPsの異常であることから、ALSとSMAの脊髄運動ニューロンでは、共通してsnRNPsが異常となっていると言える。よって運動ニューロンはsnRNPs異常に脆弱であり、ALSやSMAの運動ニューロンではsnRNPs異常によりスプライシング反応の破たん等が引き起こされ、神経変性に至るのではないかと考えられる。
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