2011 Fiscal Year Research-status Report
グリア活性に注目した多発性硬化症に対する治療法の開発
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23700459
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
郭 暁麗 (財)東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (50443114)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 視神経炎 / 抗酸化物質 / EAE / GEF / Dock8 |
Research Abstract |
本年度は多発性硬化症における視神経炎の発症メカニズムの解明と、薬剤を利用した視神経炎の治療研究を行った。疾患モデルとして実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis: EAE)を活用した。治療効果については形態的な観察にとどまらず、多局所網膜電位の解析などを交え、総合的な視機能評価に基づいて判定を行った。抗酸化物質spermidineを用い、視神経炎の重症度の緩和を組織病理学及び電気生理学的手法によって解明した。また蛍光プローブを用いた染色法(CM-H2DCFDA法)を用いることで、spermidine投与による酸化ストレスの軽減を明らかにした。さらにアストロサイトを用いた研究からspermidineによりMCP-1, RANTES, MIP-1alphaなどのサイトカイン産生能が低下することが判明した。このようにEAEにおけるグリア活性の重要性が示された。一方、Dock8と呼ばれるグアニンヌクレオチド交換因子(Guanine nucleotide exchange factor; GEF)の機能を、遺伝子改変動物を用いて検討した。Dock8欠損マウスにおいてはEAEによる視神経炎および脊髄炎が全く発症しないことを発見し、Dock8がT細胞の増殖および活性化や、樹状細胞における抗原提示能に関与することを解明した。さらに意外なことにDock8過剰発現マウスでもEAEの発症率が低下し、また発症した場合でも有意に軽症化することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に加えて、Dock8の機能解析を含めたEAE研究が大きく進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はDock8の機能をさらに詳しく解析し、論文化していく。また引き続きASK1, TrkBの領域特異的遺伝子改変マウスの解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主に実験に必要な物品費、学会参加用費用及び論文投稿、発表用費用に使用する。物品費には各種キット、試薬や組織解析に必要な抗体などの費用が含まれる。
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Research Products
(3 results)