2012 Fiscal Year Annual Research Report
運動、運動学習を制御する大脳基底核神経回路の作動原理の解明
Project/Area Number |
23700479
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
佐野 裕美 生理学研究所, 統合生理研究系, 特任助教 (00363755)
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Keywords | 大脳基底核 / 線条体 / 運動 / 光遺伝学 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
大脳基底核が制御する運動などの神経生理機能の作動原理を明らかにするため、光遺伝学を用いて大脳基底核を構成する特定の神経経路の活動を操作し、投射先や大脳基底核の出力核の神経活動を制御する機構と行動の調節に与える影響を解析した。 大脳皮質-線条体経路の生理学的役割を解析するため、逆行性のレンチウイルスベクターを利用して、線条体から逆行性に大脳皮質-線条体経路に光受容体であるchannelrhodopsin-2(ChR2)の遺伝子導入を行った。大脳皮質に光ファイバーを接着した記録電極を刺入して神経活動を記録したところ、光照射に応じた興奮が認められ、大脳皮質-線条体経路の同定と選択的な興奮誘導に成功した。 一方で、線条体投射ニューロンの神経生理学的役割を解析するため、線条体投射ニューロンにChR2を発現する遺伝子組換えマウス(PDE10A2-tTA::tetO-ChR2マウス)を利用し、線条体投射ニューロンが大脳基底核の他の神経核や出力核の神経活動を制御する機構を解析した。PDE10A2-tTA::tetO-ChR2マウスを覚醒下で脳定位固定装置に保定し、光ファイバーを接着した記録電極を線条体に刺入して神経活動を記録したところ、光刺激に応じた興奮が線条体で認められた。次に、線条体に光ファイバー、線条体の投射先である淡蒼球外節および黒質網様部に記録電極を刺入して神経活動を記録したところ、線条体への光照射に応じた一過性の抑制が認められた。そこで、神経活動と運動制御の関係を明らかにするため、線条体にカニューレを留置し、カニューレから光ファイバーを刺入して、自由行動下でのマウスの行動を観察した。光を照射するとマウスは一方向への回転運動を始め、線条体による淡蒼球外節および黒質網様部の一過性の抑制が運動の制御に重要であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)