2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代タンパク質用デリバリー素材:タンパク質を温和に保持し放出するナノマシン
Project/Area Number |
23700539
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 健 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70335785)
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Keywords | がん免疫治療 |
Research Abstract |
当初、新概念に基づくタンパク質のためのナノキャリアとして、ポリマーを開発したが、詳細な物理化学的検討の結果、興味深い物理化学的性質を示したが、タンパク質の内包能には乏しく、この用途に向かないことが分かった。ここまでの結果は論文1報にまとめて報告し、研究方針を転換することとした。 そこで、発想を変えて、ビオチンをリセプターとして用いて、ポリマーを細胞表面に修飾し、これによって、細胞に任意のタンパク質を取り込ませる方法を開発することとした。疎水性相互作用により、ポリマーを細胞表面にアンカリングすることとした。その結果、ポリマーは細密充填に近い濃度で、細胞表面に修飾できるものの、細胞毒性はほとんど示さないという修飾条件を見出した。その条件で、ストレプトアビジンの取り込みを検討したところ、血清の影響を受けず、効率よく取り込まれることが分かった。市販のタンパク質導入試薬よりも、効率が高いことが分かった。これらの結果は論文一報にまとめて報告した。 次にがんの免疫治療に適用した。OVAをモデル抗原として、樹状細胞に対してリガンド提示法により、取り込ませたところ、リガンドがない場合に比べて、10倍程度の高い取り込み効率を達成した。この樹状細胞でマウスにがん免疫を誘導したところ、そのマウスはがん細胞を接種しても、定着せず、効率的に、がんの増殖を抑制することが明らかとなった。本手法は、効率よく任意のタンパク質を細胞内に取り込ませるための手法として確立することができ、今後、このテーマを発展させた研究を継続していく予定である。
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