2012 Fiscal Year Research-status Report
褥瘡発生の主要因となる物質の同定と物理療法による発生・重症化予防
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23700602
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒瀬 智之 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (20363054)
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Keywords | 褥瘡 / 血管開通率 / ラット / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
褥瘡は主に皮膚に加わる圧力によって潰瘍が生じると考えられているが、圧力だけでは発生機序を十分に説明できない。ラットの腹部を圧迫すると60 mm Hg 以上の圧力では潰瘍や炎症などの病的変化が起こるが、50 mmHgでは変化が起きず、わずかな圧力差が褥瘡発生の有無に影響する。褥瘡の発生には血流が関係すると言われているが、血流の変化を組織学的に観察したものはない。 内皮細胞に結合するトマトレクチンを使用することで、開いている毛細血管を観察することができている。抗PECAM-1抗体を用いた全血管の染色と組み合わせて、組織学的に皮膚の毛細血管開通率を調べることができている。この染色法により、正常な皮膚において温度と毛細血管開閉の関係を調べた。同じように骨格筋、心臓、末梢神経、脊髄、胃、小腸、十二指腸、膵臓、腎臓、甲状腺、胸腺などで、開いている毛細血管を染色できた。しかし、臓器によって染色強度は異なる上に、同一視野内の血管でも濃淡の差異があり、本数の計測が困難であった。染色法を改良し、当初の染色よりも多くの血管を検出できるようになり、本数の計測が容易になった。しかし、縦走する血管が多い組織では、連続した切片上に同一の血管があらわれないこともあり、開通率を算出することができなかった。同一切片上で全毛細血管と、開いている毛細血管を染め分ける必要がある。 炎症性サイトカインや酸化ストレス関連タンパク質、タンパク質分解酵素を、ウエスタンブロットやELISA、zymographyなどを用いた生化学的な解析を行い、褥瘡との関係を調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5ヶ月間の海外派遣により、国内での研究機関が短くなったために遅れが生じた。一方で派遣中に生化学的な手法を習得できたため、遅れはわずかと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な臓器の血管開通率を算出するとともに、染色法、解析方法を樹立する。その上で、温度に伴う血管開通率を再検討する。 炎症性サイトカインや酸化ストレス関連タンパク質、タンパク質分解酵素をウエスタンブロットで解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウエスタンブロットに必要な試薬、装置の購入。 特にウエスタンブロットで使用する抗体を数種類購入する
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Research Products
(5 results)