2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700752
|
Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 和文 金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (10434549)
|
Keywords | 陸上競技 / 100m走 / 義足 / 速度低下 |
Research Abstract |
本研究の目的は,義足の100m走選手に焦点をあて,加速技術や速度低下に及ぼす義足の影響を明らかにすることであった。この目的を達成するために,次に示す2つの課題を実験により,測定し,解析を試みた。課題1,義足の選手が発揮した100m走中の速度曲線を測定し,速度変化の特徴を明らかにした。課題2, 速度曲線から累積速度偏差を算出し,義足の選手が苦手とする加速区間や得意とする速度低下区間などの特徴を明らかにした。 特に最終年度においては,ロンドンパラリンピックに出場した2名の短距離選手を対象に,レーザー速度測定器を用いて,疾走速度の変化を測定することができた。対象とした選手は,ともに片足義足の選手(T44)であった。測定データの再現性を検証するため,1名の選手については,約5ヶ月の間隔を空けて,2回にわたって実験測定をおこなった。全ての実験測定に関して,選手には,2回の全力疾走を依頼した。全力疾走の間隔は,選手の疲労が回復するために十分な時間を設定した。 選手が発揮した疾走速度を分析したところ,全ての試技において,100m走中の疾走速度の低下が見られた。その速度低下の特徴は,健常者の速度変化と類似した傾向を示した。オスカーピストリウス選手に代表される義足の選手は,一般的に加速区間が苦手で,速度低下区間の速度低下が少ないと考えられてきた。しかし,本研究で得られた成果として,片足義足の選手(T44)クラスのにおいては,健常者と同様に,はっきりとした速度低下を発現していた。今後は,これらの選手を対象とした,速度低下を誘発する疾走フォームの特徴を分析したいと考えている。
|