2012 Fiscal Year Research-status Report
運動は白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への分化を誘導するか
Project/Area Number |
23700778
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小笠原 準悦 杏林大学, 医学部, 助教 (20415110)
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Keywords | 白色脂肪組織 / 誘導型褐色脂肪細胞 / 水泳運動 / UCP-1 / Cited 1 / SVフラクション |
Research Abstract |
【目的】これまで乳幼児期にのみ機能的であると考えられていた褐色脂肪細胞は生涯にわたり活発に機能している事実が明らかとなり,褐色脂肪細胞の有するエネルギー消費能を介した新たな抗肥満療法の確立へ期待が寄せられている.最近では,エネルギー貯蔵の役割を果たす白色脂肪組織中に誘導型褐色脂肪細胞が存在する事実が提示され,エネルギー代謝の理解にいろどりを添えている.継続的な持久性運動は白色脂肪組織に生理・生化学的な適応変化を引き起こす.しかし,誘導型褐色脂肪細胞への修飾作用についてはよくわかっていない.本研究では,誘導型褐色脂肪細胞に及ぼす運動の効果について検討することを目的とする. 【平成24年度の結果】 Wistar系雄性ラットに9週間の持久的走運動トレーニング(以下トレーニング)を施し,後腹壁,皮下(鼠径部),精巣上体より白色脂肪組織を摘出し検討したところ,褐色脂肪細胞のマーカーであるUCP-1 mRNAの発現は,非運動群と比べて,後腹壁と皮下の両白色脂肪組織で有意に増加した.同様に,誘導型褐色脂肪細胞のマーカーであるCited1 mRNAもまた,非運動群と比べて両白色脂肪組織で有意に増加した.そこで,脂肪組織から脂肪細胞への単離の過程で沈査分画として得られるStromal Vascular Fraction(SVF)を回収し,培養の後,total RNAを調製して検討したところ,後腹壁と皮下白色脂肪組織に由来するSVFでは,トレーニングによってCited1 mRNAの発現が有意に増加することが明らかとなった.こうした結果をもとに,最終年度は,得られた現象をin vitroの系で再現することによって,分子メカニズムの詳細を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
白色脂肪組織切片を作製し,免疫組織化学染色法によって誘導型褐色脂肪細胞の存在を形態学的に証明する必要がある.運動トレーニングモデル動物の作製には2か月以上かかるため,サンプルの調製に若干時間を要している現況である.
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Strategy for Future Research Activity |
白色脂肪組織において,誘導型褐色脂肪細胞の発現は部位差が存在することが明らかとなった.今後は後腹膜と皮下白色脂肪組織におけるPPARγやC/EBPβなどの転写因子群の挙動解析を行うとともに,変化を株化細胞へ擬態支えることによって,in vitroにおけるモデル細胞を樹立し,より詳細な分子メカニズムの解明を試みる予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用金額については,平成25年度の研究計画に従い使用する予定である.
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Research Products
(8 results)