2013 Fiscal Year Annual Research Report
運動は白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への分化を誘導するか
Project/Area Number |
23700778
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小笠原 準悦 杏林大学, 医学部, 助教 (20415110)
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 白色脂肪細胞 / トレーニング |
Research Abstract |
【目的】褐色脂肪細胞は熱産生の過程で積極的にエネルギーを消費することから,近年では抗肥満療法のターゲットとして期待が寄せられている.最近では,一部の骨格筋筋芽細胞が褐色脂肪細胞へと分化することや,白色脂肪組織内では褐色脂肪細胞様の細胞が発現することが断定され,これらの調節メカニズムについても多くの知見が明示されている.しかしながら,褐色脂肪細胞の形成を促す環境因子についてはよくわかっていない.身体運動は,生理的な変化を逸脱しない範囲で様々な細胞に生理・生化学的な変化を誘導する.そのため,遺伝子治療の確立されていない現在において,褐色脂肪細胞の分化機構に及ぼす身体運動の効果について検討することは,薬物療法などによる副作用の懸念を排除した新たな運動療法の確立へ応用できるかもしれない.本研究では,白色脂肪組織内に観察される誘導型褐色脂肪細胞の形成に及ぼす身体運動の効果について検討した. 【平成25年度の結果】 9週間の持久的走運動トレーニング(以下トレーニング)により,後腹壁と皮下(鼠径部)の白色脂肪組織では,褐色脂肪細胞のマーカーであるUCP-1とCidea のmRNAの発現が著しく増加したが,非運動群では全く観察されなかった.こうした状況では,誘導型褐色脂肪細胞のマーカーであるCited1,Tbx1,Tmem26,CD137 mRNAの発現も観察された.そこで,白色脂肪組織切片を作製し,誘導型褐色脂肪細胞の存在を免疫組織化学染色法を用いて観察すると,白色脂肪組織内にUCP-1陽性細胞の存在が確認された.身体運動は,非侵襲的に白色脂肪細胞内の褐色脂肪細胞様細胞の形成を促す環境要因となりえることが示唆された.
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Research Products
(23 results)