2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700795
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 亨 東京大学, 教育学研究科(研究院), 特任助教 (80419473)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 気分障害 / 身体活動 / 心拍変動 / 心身の健康 |
Research Abstract |
本研究は、気分障害に伴う精神性行動異常および自律神経機能変調の客観的・定量的評価指標の確立を目的とする。うつ病の治療過程における心拍変動・身体活動データ計測を行い、1)心拍変動による自律神経系機能変調、2)身体活動時系列による行動異常(行動組織化則と間欠性)を記述する最適指標の開発・改良を行う。同定指標の精神医学的妥当性を検証するとともに、気分障害の客観的評価モデルを構築する。 本年度は、治療に伴う自律神経機能変化・行動変容と臨床スコアの経時的変化との共変性の検討、および先行研究で得られた行動指標の精神医学的妥当性を検証するため、大うつ病性障害患者を対象に修正型電気痙攣療法施行過程および薬物治療過程における身体活動の連続計測を行った。また、前者では治療前後のホルター心電計測も実施した。 一方、気分障害(双極性障害)と遺伝学的・臨床医学的にも共通する部分が多い統合失調症患者の身体活動を計測し、行動組織化指標について検討した。その結果、大うつ病性障害患者と同様、健常対照群に対して休息期間の系統的増加がみられ、その分布形状(べき乗分布)を特徴づけるパラメータ(べき指数)に有意な減少を確認した。一方、うつ病とは異なり、活動期間分布(伸張型指数分布)の裾野形状を特徴づけるパラメータ(伸張指数)にも有意な減少がみられた。以上のことは、統合失調症患者では、休息期間の持続性が増大する(間欠性の増大)と同時に、活動期間の持続性も増す、すなわち、行動生起頻度は低下する(休息状態から活動状態への移行が生じ難い)が、一度活動し始めると終了しづらい(休息へ移行しづらい)ことを意味する。このような行動指標の変化は、統合失調症における解離行動や反復・緊張病性などの行動異常を反映していると考えられた。また、行動指標は統合失調症の客観的・定量的診断にも有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気分変調に伴う精神性行動異常および自律神経機能変調の客観的・定量的評価指標の開発に不可欠な臨床データの計測は順調であり、次年度、最適指標の探索や精神医学的妥当性の評価を行うに資するデータの蓄積が進んでいる。また、行動組織化則の機序の解明に有用な新たな知見を、統合失調症患者の身体活動時系列の解析により得た。
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Strategy for Future Research Activity |
精神行動異常の客観的・定量的評価指標の開発に資するデータの計測・蓄積を継続するとともに、行動異常を記述する最適な指標の開発・同定、およびその精神医学的妥当性の評価を行う。開発指標により客観的評価モデルの構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の用途への使用を計画している。・健常者対象群のデータ計測のための謝金。・連携研究者との研究打ち合わせのための経費。・国内および国際学会で研究発表を行うための旅費と経費。・論文校正費と投稿料。
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Research Products
(4 results)