2011 Fiscal Year Research-status Report
高温障害米の食味劣化に及ぼす米澱粉の物理化学的特性の影響
Project/Area Number |
23700883
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
筒井 和美 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (50435278)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 米 / 乳心白米 / 澱粉 / 物理化学的特性 / 高温障害 / 食味 |
Research Abstract |
近年、地球温暖化にともない、米は高温障害をうけており、収量や食味の低下が懸念されている。本研究では、高温障害米と食味劣化の関係を明らかにするため、高温障害米及び米澱粉の物理化学的特性を調べることを目的とした。 平成23年度は、高温障害米に多くみられる外観不良米(乳心白粒)を用い、その物理化学的特性と収穫年による影響について検討した。平成21年、平成22年の新潟県三条市産コシヒカリの千粒重と粒径を調べ、澱粉のSEM観察、飯の物性等を調べ、乳心白粒の物理化学的特性を把握した。また、乳心白粒の化学構造及び成分を調べた。その結果、乳心白粒の物理化学的特性は、整粒に比べて特異的であり、特に、収穫年により化学特性が異なることがわかった。これらの成果は、今後、学会発表及び学術論文等で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高温障害米の物理化学的特性の把握ほか、収穫年による化学特性の差異についても検討ができた。平成23年度は、研究計画に準じた進行度である。たとえば、コシヒカリについては、平成21年産、平成22年産の千粒重及び粒径、画像解析による乳心白発現割合の算出、飯の物性、化学成分の定量等を行い、乳心白粒の物理化学的特性を調べ、整粒の特性との相違を把握できた。また、収穫年の影響も検討できた。今後は、さらなる研究の展開と成果発表に向けて、研究遂行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
高温障害米である乳心白粒内の米澱粉に注目し、米澱粉の物理化学的特性について検討する。米澱粉の抽出法を確立し、その後、示差走査熱量計(以下、DSC)を用いて抽出澱粉の糊化及び老化の特性を把握し、高温障害米の食味劣化に及ぼす澱粉の物理化学的特性の影響について調べる。【平成24年度】(1)澱粉抽出法の検討・・・微量高速冷却遠心機(トミー精工製:MX305)*を用い、平成21年、平成22年新潟県 三条市産コシヒカリ、こしいぶきから米澱粉を抽出する。澱粉抽出の最適な条件を検討するため、溶媒の種類、抽出時間の影響について調べる。また、有機溶媒により抽出した澱粉の損傷程度を確認するため、SEM(キーエンス製:VE9800)を用いて澱粉の形状や大きさを確認する。(2)DSCによる熱特性・・・新規購入予定のDSCを用い、米澱粉の糊化及び老化特性を把握するため、試料濃度や昇温速度などの実験条件について検討する。なお、測定前の試料は、澱粉の膨潤のためにインキュベーター(生田産業製:A5501)*内で25℃で90分間保管しておく。【平成25年度】(1)抽出澱粉の熱特性・・・平成24年度の検討後、最適な抽出法に準じて、各試料の乳心白粒と整粒から米澱粉を抽出する。これら試料をDSCにより熱分析を行い、糊化特性及び老化特性を比較し、品種及び収穫年の影響について検討する。(2)本研究の総括・・・・・高温障害米に及ぼす米澱粉の物理化学的特性から、食味劣化の原因究明に結び付ける。*;平成21~22年度科学研究費補助金 若手研究(B)(研究課題21700744)で購入した実験機器。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、抽出澱粉の糊化特性及び老化特性の把握を目的としてDSC(島津製作所製:DSC-60を検討中)を、大量の試料米を冷蔵保管するために業務用冷蔵庫を、設備備品として購入する。また、学会発表のための旅費、論文作成のための文献複写代等に研究費を使用させていただく。
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Research Products
(1 results)