2012 Fiscal Year Research-status Report
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23700889
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山崎 貴子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60318574)
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Keywords | 食肉軟化 / マイタケ / プロテアーゼ / 高齢者 / 咀嚼 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、良質なタンパク質源ではあるが硬さ・噛み切りにくさのために高齢者にとって食べにくい食肉をマイタケプロテアーゼの利用により、軟らかく食べやすくする調理方法の開発である。 昨年まで行ってきた「肉をマイタケ抽出液と一緒に真空パックして加熱する方法(以下、mvp)」では、マイタケ抽出液の濃度を低くしたり、処理時間を短くしたりしても肉表面がべたつき食味が低下したことから、本年度はマイタケ抽出液を肉に作用させる方法を再検討した。その結果、注射針で肉内部にマイタケ抽出液を注入して加熱する方法(以下、mi)では、肉表面のべたつきを伴わず肉を軟化できることがわかった。 試料として牛もも肉を用い、先行研究と同様、70℃で2時間スチーミング加熱したところ、mvp肉、mi肉の破断応力は水と一緒に真空パックして加熱した肉(以下、wvp肉)、未処理の加熱肉(以下、nt肉)の破断応力の約60%に低下した。また、mi肉は使用したマイタケの量がmvp肉の1/50と少ないにも関わらず、mvp肉の破断応力値と差がなかった。 高齢者施設や家庭での利用頻度が高い豚もも肉でも同様の実験を行った。衛生上の観点から80℃にてスチーミング加熱したところ、4つの試料(mi肉、mvp肉、wvp肉、nt肉)の破断応力値にはほとんど差が見られず、マイタケプロテアーゼの効果は得られなかった。しかし、65℃で加熱した後に80℃で加熱し、肉の中心温度を75℃まで上げた試料では、65℃加熱が長いほどmi肉、mvp肉の応力値が低くなり、牛もも肉と同様の結果が得られた。これにより、マイタケプロテアーゼを作用させるためには、70℃以下の温度である程度の時間加熱する必要があることが確認できた。 今後は、調理法の検討をさらに行うとともに肉タンパク質の変化など基礎的研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、初年度の結果をもとにマイタケプロテアーゼを肉に作用させる方法やその後の加熱温度、加熱時間など中心に検討した。課題であった肉表面に生じるべたつきを改善する処理方法や最適な加熱温度などが決定し、当初の計画通りほぼ順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた調理法を中心に、試料肉の成分測定や硬さに関与するたんぱく質の変化などを調べる。すなわち、マイタケ処理した試料肉、対照として処理なし肉や水処理肉、その他のプロテアーゼを含む食材で処理し加熱した肉の水溶性タンパク質、筋線維タンパク質、コラーゲンをそれぞれ定量し、また分子量の変化などを調べ比較検討する。これらの基礎研究のデータをもとに、高齢者向けの食肉調理法の開発をさらにすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)