2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700909
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 拓史 山形大学, 教育文化学部, 助教 (50587110)
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Keywords | 小腸機能回復 / 中心静脈栄養法 / 経腸栄養法 / 絨毛萎縮 |
Research Abstract |
本研究は、非経腸栄養時に引き起こされる小腸絨毛萎縮と小腸機能低下に対して、消化管への栄養素の再流入刺激がどのような作用機序を経て小腸絨毛形態ならびに小腸機能を回復させるかについての詳細を明らかにすることを目的とした。平成23年度は、長期中心静脈栄養法(TPN)を施行した非経腸栄養モデル動物を作製し、7日間のTPNにより絨毛萎縮ならびに分子レベルでの小腸機能低下が引き起こされることを確認した。平成23年度から平成24年度にかけては、構築したTPNモデル動物を用いて、7日間TPN施行後から連続3日間各栄養素(糖質、脂質、アミノ酸)を経口投与した際の絨毛形態および分子レベルでの小腸機能回復効果について検討を行った。その結果、栄養素の種類によって小腸機能回復効果が異なることを明らかにし、尚且つ栄養素の質の違いでも小腸機能の回復に与える影響が異なることも明らかにした。平成25年度は、前年度までの研究結果の再現性を確かめるための実験を行うとともに、細胞増殖に関連する因子の発現解析を行った。長期TPN施行に伴う絨毛萎縮には小腸上皮細胞の細胞増殖関連因子の発現減少が引き金となると考えられているため、TPN施行時と経口栄養素再投与時の小腸絨毛における細胞周期関連因子(cyclins, CDK)ならびにmTOR経路関連因子の発現解析を行った。その結果、多くの細胞増殖関連因子の発現がTPN施行時に減少することが明らかとなった。とくにmTOR経路の活性化に寄与するRagCならびにPRAS40の顕著な発現減少が細胞増殖関連因子の発現を減少させる一因である可能性を示唆する結果を得た。また、経口からの栄養素再投与によりそれらの発現は増大し、小腸上皮細胞の細胞増殖関連因子の発現を維持あるいは通常レベルまで回復させるためには栄養素の流入刺激が重要な役割を担うことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)