2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700921
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久徳 康史 中央大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70569706)
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Keywords | 食情報 / 味覚 / 記憶 / 主観的生活の質 / 外食産業 |
Research Abstract |
先進国では、客観的指標において食生活の質と量が満たされている。それにも関わらず、食生活に関する不満や不安が多く、主観的食生活(食QoL)が充足されていないという問題が生じている。この状況をふまえ、心理測定法と多変量解析を組み合わせたアプローチによって解決を試み、国民の食QoL向上に貢献することを目指している。 平成23年度の成果として、質問紙の信頼性が確認された。その質問紙を用い、健康的・体重管理がし易い・気分の盛り上がる・おいしい食事特定に関しては、理想と現実の乖離がほとんど無いことが分かった。反して、身近な・簡便な食事特性には、理想と現実の乖離が小さいことが分かった。また、これらの乖離は、朝食・昼食と比較して、夕食で小さくなることが報告された(査読付き国際誌掲載、Kyutoku et al. 2012)。 平成24年度は、理想がどの様に実際の食生活に関係し、どの様に食QoLに反映されるかを朝食・昼食・夕食にてモデル化し、理想と現実の一致が、必ずしも食QoLの向上に結びつく訳ではないことが分かった(アメリカ心理学会発表、Kyutoku & Minami et al., 2013)。 昨年度は、震災前後でも消費者の理想と現実の食事に優位な変化は見られないことを検証した。これまでに確立した手法を外食産業における消費者生活の質の検証のため派生研究を行い、精神的な報酬効果が理性的な認知的反応よりも、消費者の満足感に強く関わることを明らかにした。この結果モデルを、査読付き国際学会(2013年度ICHRIE)において報告した。更に微視的にメニューレベルでも同手法を用いた結果、報酬効果だけではなく飽きない食事でないと食生活満足度に貢献しないことが示唆された(2014年度 SenseAsia発表確定)。食自体にとどまらず、外食店の外観評価など食生活の質に関わる研究に汎く応用を始め、2014年度 ICHRIEでの発表が確定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り震災後においても消費者の食認知に変化がないことが明らかになった。この結果を受け、本手法を用いた研究分野を拡げるため、外食産業における消費者の食満足度モデル、外食メニュパーソナリティーにおける消費者の食生活満足度モデルが検証された。更に、外食店の外観評価など食生活の質に関わる研究に汎く応用を始めている。 食QoLモデルの論文発表は達成していないが、2013年度から2014年度にかけてアメリカ心理学会、ICHRIE、SsnseAsiaなどで査読付き学会発表を行っている。又2013年度、2014年度のICHRIEでのプロシーディングによる発表も確定している。 これらの進捗具合を鑑み、本研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
外食におけるメニューパーソナリティと消費者のQoLの関係性を可視化した定量的認知モデルの構築により得られた知見を、2014年度のSenseAsia(確定)やInternational Council on Hotel, Restaurant, and Institutional Education (ICHRIE)(確定)にて査読付学会発表を行う。尚、2014年度のICHRIEでは、学会プロシーディングの発表も併せて行う。Food Quality and Preferenceなどの学術誌への論文発表を目指している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時に想定していたより多くの知見が得られ、それに関わる研究発表を行うため、1年の期間延長をする必要が生じた。具体的には、外食におけるメニューパーソナリティと消費者QoLの関係性を可視化した定量的認知モデルの構築により得られた知見を、本年度シンガポールで開催される国際的な学会であるSenseAsia、及び、米国カルフォルニア州サンディエゴで開催されるInternational Council on Hotel, Restaurant, and Institutional Education(ICHRIE)において研究発表を行う。 外食におけるメニューパーソナリティと消費者QoLの関係性を可視化したモデルによって得られた知見を、本年度シンガポールで開催される国際的な学会であるSenseAsia(確定)にて査読付きの研究発表するために学会参加費用、又、米国カルフォルニア州サンディエゴで開催されるICHRIE(確定)の準備費用として使用する。
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