2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23710144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 白眉センター, 准教授 (10346075)
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Keywords | べん毛モーター / タンパク質分子機械 / 高圧力 / 1分子計測 / バイオイメージング |
Research Abstract |
本研究課題では、細胞内で働く分子機械の機能変調を目的として、高圧力技術によりタンパク質水和の変化と検出を行える新しい分析手法の開発に取り組んだ。バクテリアのべん毛モーターは、数十種類のタンパク質から構成される複雑な生物分子モーターであり、細胞内に位置する回転子と固定子の相互作用によりトルク発生を行っている。平成24年度では、研究代表者がこれまで開発してきた高圧力顕微鏡を用いて、大腸菌・べん毛モーターの回転方向を変化させる研究を行った。高圧チャンバーの観測窓にべん毛繊維を吸着させることで、モーターの動きを細胞本体の回転運動として観察できるテザードセルの実験を行った。圧力の増加に伴い、回転速度の低下がみられたものの、大腸菌が遊泳運動を停止する800気圧では回転方向は変化しなかった。しかしながら、1000気圧以上の条件下では、あるモーターは運動の方向性をなくし、両方向に回転し、また、別のモーターでは、逆向きに滑らかに回転しはじめた。こうした方向性の変調は、圧力の増加と共にシグモイド状に増加することが明らかになった。また低温条件下では、より低い圧力で逆に回り出したため、熱力学的にもつじつまがあうことになる。自然界では、べん毛モーターの回転方向は、リン酸化されたCheYの結合反応によりコントロールされている。高圧力下をかけることで、あたかもCheY.Pが結合したかのようにモーターの構造が変化したものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高圧力チャンバーの開発に際して、微細加工技術を応用することで技術的な問題をクリアできることが判明した。ただし、開発に時間を要するため計画を変更せざるを得なかった。それ以外の面では概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
従来とは異なる新たな仕様で高圧力チャンバーを開発する。チャンバーと高圧ラインとの接続部分は自作する必要があるため、トライアンドエラーを繰りかえしながら、装置開発に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述のチャンバーおよび、その他の部品、光学顕微鏡部品、研究補助員の雇用費用に利用する。
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