2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23710144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 京都大学, 白眉センター, 准教授 (10346075)
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Keywords | べん毛モーター / タンパク質 / 分子機械 / 高圧力 / 1分子計測 / バイオイメージング / 高圧力顕微鏡 / バクテリア |
Research Abstract |
本研究課題では、細胞内にある水分子を利用して、タンパク質分子機械の構造と機能をコントロールする新しい分析手法の開発に取り組んできた。研究代表者がこれまで開発してきた高圧力顕微鏡を利用して、生きた大腸菌内で駆動するべん毛モーターの回転運動の変調計測を行った。前年度までの取り組みにより、高圧力下ではべん毛モーターの回転方向が反時計方向から時計方向へと逆になることを明らかにしている。平成25年度は、モーターの回転方向の圧力依存性と温度依存性について詳細な解析を行った。実験結果から示された反時計方向と時計方向の2つの回転状態が平衡関係にあると仮定し、これらの状態間の自由エネルギー差を求めたところ、常温常圧力条件下(23 ºC, 1気圧)では、標準自由エネルギーは23 kJ mol-1、反応体積は-320 Å3と算出された。なお、標準エンタルピーは-310 kJ mol-1、標準エントロピーは-1.1 kJ K-1 mol-1であった。モーター回転状態の自由エネルギーについて、圧力と温度に関する相図を作成したところ、概ね、40 MPaの圧力変化と8℃の温度変化毎に、自由エネルギー値は10 kJ mol-1変化することが明らかになった。このように自由エネルギー差が温度変化や圧力変化に対してほぼ線形に変化することから、モーターの構造はきわめて複雑であるものの、熱力学的には簡単なモデルで記述できることを明らかにできた。
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