2011 Fiscal Year Research-status Report
1930年ー70年代までのブラジル、アリアンサ地区における日系移民の活躍
Project/Area Number |
23720150
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
牧野 理英 日本大学, 商学部, 准教授 (10459852)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | サンパウロ / アリアンサ地区 / 弓場農場 / カリフォルニア州サンタクルス |
Research Abstract |
本研究は、1930年代から70年代にかけてブラジル、サンパウロ州アリアンサ移住区にて日系移民農場を創設した日系一世、およびその理念を信望した一派に関する資料をブラジル、アメリカ合衆国にて収集する。そしてこの移民集団がブラジルの国政とどのように関わりあって形成されているかを日本人研究者の視点から提示し、現在の北米中心の国際的な日系ブラジル研究に一石を投じるというものである。 本研究を実行する過程において、日本大学商学部准教授牧野理英は23年度科研費(若手B)を受託し、本年度においては一件の国際学会発表、そして一件の学会論文掲載を達成した。まず2011年1月11日アメリカ合衆国ハワイ、ホノルルにおいて第10回ハワイ国際人文・芸術学会(米ルイヴィル大学主催)で本課題を発表し、大変好意的な評価を得た。発表の後、コロラド大学ボールダー校文学部日本語学科の教授のジャニス・ブラウン氏が、2013年度アジア研究学会:Association of Asian Studies (AAS)の国際学会においてパネルを組んではという申し出を受けた。これは若手研究者としては大変栄誉なことである。結果来年度ブラウン氏と牧野と他3名を加えて発表のプロスペクタスを作成し、このきわめて受託率の低い国際学会での発表を企画中である。これもこの科研費なくてはハワイ国際学会発表はかなわず、結果ブラウン教授に会うこともなければAASでの発表の機会も得られなかったといえる。その後、牧野理英は日本の3大学会のなかでも最も規模の大きいアメリカ学会に本研究をベースにした論文を投稿し採用され2012年3月30日に出版することができた。この学会、(雑誌名はアメリカ研究という)の自由投稿論文は競争率が高く、出版は今後その発展が期待される若手研究者の登竜門ともいえる学会誌である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の経過状況でおおむね研究は計画通りであるが、さらなる成功を期待し、より質の高い実績を報告できることを望む。具体的には海外発信の英語の単行本、論文の出版、研究主体の出版社からの学術書の発行に本研究をつなげていくつもりである。それは来年度AASでの発表、およびそれを基にした海外学会誌への投稿をステップに進んでいくことになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本国内にとどまらず、アメリカ、ブラジルに向けて若手日本研究者の活動が知れ渡るように努める。そのためにも国際学会での発表、英語論文の出版は必須であるため、来年度はそのように研究の方向を持っていくことにする。海外発表では今回のブラウン氏のようにアメリカの教授となるべくコンタクトをとれるように研究者のネットを広げていくことにする。 平成23年度の4月から12月までは、日本におけるブラジルの日系移民に関する文献の収集とリサーチ・メゾッドを確立し研究状況の基盤を整えた。そして平成24年の3月はアメリカの大学に所属するアジア系アメリカ研究者と面会した。研究発表に関して、24年6月のアメリカ学会の発表は中間報告という形式をとり、10月のアメリカ文学会ではヤマシタの作品分析を発表する。したがって論文は移民研究をベースにしたものと文学作品分析をベースにしたものの二つを提出することになる。このように区分した理由は、6月の移民研究のみをベースにした発表において研究が申請者の計画通りに進まなかった場合に、10月の発表においてヤマシタの日系アメリカ作家としての本作における歴史的観点と、本研究においてできる限り収集した資料に基づく歴史との差異を提示し、ヤマシタの作品に新たな見解を示すという目的を達成するためである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度(24年度)は8月初めにブラジル、サンパウロ州に赴くことになるため、昨年度よりも旅費などの出費がかさむことになる。また旅費のみでなく、ブラジルでの聞き取り調査、および日本で手に入らない文献の入手、購入なども研究費の使用にあてられることになる。また前年度からの繰り越し金が16,078円となり、24年度はこの金額を8月のブラジル、サンパウロ州での弓場農場、およびサンパウロ人文研究所訪問の際、購入する書籍代に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)