2011 Fiscal Year Research-status Report
ロマン主義におけるプラグマティズムの可能性―コールリッジと十九世紀リベラリズム
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23720155
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中村 仁紀 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30582564)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | コールリッジ / リベラリズム / 超絶主義 |
Research Abstract |
平成23年度は主に後期コールリッジのリベラリズムとアメリカ超絶主義思想との関わりを歴史的観点から研究した。コールリッジがドイツから持ち帰った観念論哲学が1820年代以降のエマソン、ソロー、デューイらに影響を与え、アメリカにおける超絶主義やプラグマティズムの思想における個人の自由についての考え方に展開していく道筋を示した。また、超絶思想が、コールリッジが19世紀初頭の民主化していくイギリスの社会情勢の中に見出していた「自由」に対する問題意識から離れ、観念論をアメリカ的個人主義の実用的・教育的目的の中で解釈する傾向にあったこと―にも着目し、そうした大陸横断的な影響関係に歴史上の制約があったことを論じた。 その成果は7月の国際コウルリッジ学会(神戸)にて"The Scope of Coleridge’s Liberalism―In Light of American Transcendentalism"というタイトルで発表した。またその内容に加筆・修正をした上で欧文学術誌Poetica (2011) No. 76に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の具体的な成果として発表と論文投稿を一つずつ行ったので、おおむね順調と言える。海外での発表や政治関係の文献収集等、当該年度にできなかった点もあるが、今年度以降遂行予定であるため、研究の推進上問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
1780-1790年代のイギリス国内の政治状況を背景に初期コールリッジが急進主義思想を形成していく過程に焦点を当て、18世紀末~19世紀初頭にかけての一連の社会改革運動における保守主義(Torism)と自由主義(Whiggism)との緊張関係の中で当時のコールリッジのリベラルな思想がどのようなイデオロギー的様相を持っていたのか検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
書籍・資料費(購入・学外取り寄せ・コピー)に350,000円、国内外の学会出張費に 300,000円を使う予定である。また次年度使用額(330, 196円)は、平成24年度に海外出張の予備費と、出張用のパソコンや周辺機器の購入に充てるため繰り越した。
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