2011 Fiscal Year Research-status Report
留学生のキャリア形成における日本語学習の意義づけとその変容に関する研究
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23720270
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
小林 明子 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (40548195)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本語学習動機 / キャリア形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は(1)中国人留学生の日本語学習に対する動機づけについて彼らのキャリア形成(将来像の形成や職業選択の過程)との関連から明らかにすること、(2)キャリア形成の過程で日本語学習に対する意義づけがどのように変容し、自律的な学習に結びつくのか、そのプロセスと影響要因を解明することである。最終的には中国人留学生特有の動機づけの特徴を解明し、学習者の特性に応じた支援や教育の在り方について検討する。2011年度は以下の調査を実施した。(1)第二言語教育学、心理学、教育学など幅広い分野における動機づけ研究を概観し、先行研究の成果と課題を整理した。(2)(1)の成果をもとに予備調査を実施した。予備調査では、年齢、性別、出身、学年、留学経緯、学習環境などが異なる留学生に対して幅広くインタビューを実施し、質問内容を検討した。(3)大学1年生及び2年生に在籍する留学生に対する縦断調査を開始した。定期的にインタビューを実施して進路に対する考え方や留学中の経験等を聞くとともに、日本語授業における様子、成績、提出物等から日本語学習に対する動機づけや学習行動を記録した。(4)留学生と関わる教職員に対して留学生の就職状況、支援の内容、専門科目の学習などについて質問した。以上の調査により収集したデータについて、質的な分析方法を用いて考察し、仮説の生成、修正を繰り返し行った。さらに必要に応じてデータの再収集を行い考察を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的、研究実施計画にもとづいてほぼ予定通りに研究を進めることができている。研究の基礎となる文献研究に関してはすでに終えており、調査をスムーズに開始することができた。また、調査を開始するにあたって、調査対象者となる留学生から調査協力の同意を得ることができ、順調にデータを収集することができた。さらに、データ入力補助を依頼したことにより、音声データの文字化を短期間で行い分析に移ることが可能となった。2011年度の調査データについては現在も分析、考察を進めており、次年度以降に随時、成果の公開を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は以下のとおりである。(1)日本語学習動機の変容と影響要因を解明するために、2011年度から実施している縦断調査を引き続き実施する。(2)キャリア意識の発達と日本語学習動機の関連を探るために、就職活動時期に位置する大学3、4年生の留学生に対してインタビューを実施する。調査では彼らのキャリア意識がどのように形成され、それに伴って日本語学習に対する意義づけがどのように変化したのか質問する。さらに、その過程で影響を与えた出来事、人物についても探る。(3)1年目、2年目の研究成果を取りまとめ、研究発表、投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は以下のとおりである。(1)物品費:最新の研究成果を本研究に反映させるため、研究図書を中心として購入する。(2)旅費:広く研究成果を公開することを目的として、国内学会または海外学会において成果発表を行う。(3)人件費・謝金:インタビューにより収集した発話データを迅速に文字化し、分析・考察を進めるためデータ入力補助を依頼する。
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