2014 Fiscal Year Research-status Report
徳川将軍家の葬送にみる近世武家社会の権威構造の特質
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23720319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 愛 東京大学, 総合研究博物館, 特任助教 (60431839)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 葬送儀礼 / 徳川将軍家 / 儀礼史 / 日本近世史 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は主に報告書刊行に向けた準備を行いながら、昨年度に引き続き史料収集も行った。国文学研究資料館にて26年4月10日、同24日、5月22日の3回、研究協力者1名とともに史料調査を行った。信濃国松代藩真田家文書を中心に、陸奥国弘前藩津軽家文書、常陸国土浦藩土屋家文書など84件113点の史料を収集した。特に真田家文書では5代将軍綱吉、11代将軍家斉らの葬儀を纏めて記した一件帳などの冊子に加え、廻状の写しが複数あり、将軍薨去の際の大名間での伝達のあり方を知る好史料であった。6月11日は埼玉県立文書館にて旗本稲生家文書を中心に史料調査を行い38点の史料を得た。11月19日から21日の3日間、研究協力者1名とともに秋田県立公文書館にて出羽国久保田藩佐竹家文書を中心に調査を行い、151点の史料を収集した。4代将軍家綱薨去の際の日記など多くの好史料を得た。27年1月7日足利学校にて『人見随筆』1点2冊を、2月6日国立国会図書館にて6点の史料収集を行った。史料収集は何れも史料の閲覧をしたうえで必要な史料について計測およびデジタルカメラによる撮影あるいは複写を行った。研究計画の主目的に掲げた史料蒐集は当該年度において概ね終了したと考える。このため、徳川将軍家の葬送儀礼を研究する上で主だった基礎的史料を大多数収集することができ、研究の材料が整ったと言える。 報告書刊行に関連して、史料翻刻を研究協力者6名に依頼し、計13点の成果があった。報告書の原稿は代表者が主に執筆を行い、一部研究協力者に編集を依頼した。現在150頁程執筆を終えており、全体の5割程度進行していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では26年度までに研究を終える予定であったが、24年度に出産により7か月間休業を取った影響により、研究報告書を完成することが出来なかった。しかしながら、本研究の最も中心である史料蒐集については、概ね終了したことにより、研究の最重要となる部分については、当初の計画通りに研究が進んだと考える。研究報告書については、現在5割程度進行しており、今後執筆・編集等の作業を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は最終年度として、研究報告書出版に向けて、本文の執筆、翻刻済史料の校正、掲載史料の翻刻の継続を年度前半に行う。撮影漏れなど以前の調査の不備を発見した場合は、史料調査を追加する。謝金の残金がほぼ皆無のため、本年度の史料調査は代表者のみで行う予定である。年度後半では執筆・編集を完成させるとともに、刊行のための最終調整を行う。一方、研究をまとめて学会での報告も行いたい。
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Causes of Carryover |
研究報告書出版を終えていないため、「その他」の経費に使用額が生じた。「人件費・謝金」について翻刻を終えていない分があるため、若干の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は主に研究報告書出版で「その他」の経費を使用する計画である。研究協力者に若干の史料翻刻を依頼し、「人件費・謝金」を全て使用する計画である。
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