2011 Fiscal Year Research-status Report
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23720348
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福島 恵 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (10523764)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 中国隋唐史 / 内陸アジア史 / 墓誌 |
Research Abstract |
本研究は、墓誌史料の研究基盤となる情報の整理とその傾向分析を行い、史料の基礎的性格を解明することを目的とする。中国隋唐時代、死者とともに埋葬され、死者の功績とその血統などを数百の漢字で石刻して記した墓誌は、現在、当該時代の研究には不可欠な史料である。ただし、墓誌は、たった1件でもその豊富な内容から研究価値を有すること、墓誌の数が膨大であることから、これまで数量的な研究がされず、史料の基礎的性格があやふやなままであった。そこで、本研究では墓誌史料を数量的に扱い、研究基盤となる情報の整理とその傾向分析を行う。2011年度の研究実績は以下の通りである。(1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析 初年度は、周暁薇等編『隋代墓誌銘彙編附考』(1-6、線装書局、2007)を使用して、隋時代(全521件)に限り、傾向分析を行い完了させる予定であった。本研究に必要な書籍や備品を揃え、研究環境を整えることはできたが、研究基盤情報の傾向分析については、卒年・葬年・出土地・所蔵機関・サイズ・行数・文字数・字体などの項目についてデータの入力作業の途中である。(2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化は、計画通りこれまでに継続して行い、新たに2件のソグド人墓誌の情報を得ることができた。ソグド人墓誌の網羅的収集し、本貫・婚姻関係・官職などから傾向分析した成果の一部を論文として投稿した。現在は改稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2011年度中に妊娠・出産をしたために、研究全体が遅れている。(1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析2011年度中に隋代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析を完了させる予定であったが、現在はデータの入力中である。当初の計画では、データ入力などの資料整理のための補助を得て、資料整理を進める予定であったが、妊娠・出産によって継続的に監督することができないため依頼できなかったことが最も大きな原因である。(2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化については、計画通り行い、ソグド人墓誌の情報(2件)を得ることができた。新出墓誌情報獲得のため、中国への現地調査を行い、京大人文研にて拓本調査も行う予定であり、また、ソグド人墓誌に見られる慣用句の分析を計画していたが、妊娠・出産のため行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の遅れを本年度中に可能な限り取り戻したい。(1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析第一に、初年度に計画していた、隋時代(全521件:周暁薇等編『隋代墓誌銘彙編附考』(1-6、線装書局、2007)掲載分)の傾向分析を行い完了させる。第二に、上の隋代の作業を参考として、2年目に計画していた、唐時代(全3536件:周紹良主編『唐代墓誌彙編』(上・下巻、上海古籍出版社、1992)掲載分)の傾向分析を可能な限り行う。当初計画したように、唐時代の墓誌史料は、その数が膨大なため、2年間に渡って行う。墓誌のサイズや出土地などの情報は、『隋唐五代墓誌彙編』(天津古籍出版社、1991-1992)、北京図書館金石組編『北京図書館蔵中国歴代石刻拓本彙編』(中州古籍出版社、1989)などの資料を参考にする。本年度は、(全3536件)をデータ化し分析する。これらの墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析について、計画の遅れを取り戻すためには、データ入力などの資料整理のための補助を得て活用することが最も効果的であると考えられる。(2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続初年度に継続して、ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化を行う。また、新出墓誌情報獲得のため、中国への現地調査を行い、京大人文研にて拓本調査も行う予定である。ソグド人墓誌に見られる慣用句の分析を計画していたが、妊娠・出産のため行うことができなかった。ソグド墓誌に見られる慣用句の分析は、墓主がソグド人であると判明しており、生きた年代を明確に捉えられる生年の判明する男子(申請時より2件増加して現在のところ82名)に限定し、墓誌文に使用された慣用句を見いだし、その出典と使用されている意味の統計をとる。初年度の遅れを取り戻すべく、82名すべての分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度である2011年度は、妊娠・出産のために本研究を十分に進展させることができなかった。そのため、2011年度中に使用する予定の研究費も未使用となっている。初年度の遅れを取り戻すために最も効果的であると考えられるのは、データ入力などのための補助者の活用であると考えられ、特に優先してその費用にあてたい。また、申請時の計画にもあったように、唐代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析を開始するにあたって、唐代墓誌史料に関する書籍が必要であり、こちらも優先的に購入することとする。なお、初年度に行えなかった中国での現地調査および京大への拓本調査は、上述した優先すべき経費の使用状況と研究計画の進展状況とを見ながら実施するものとする。
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Research Products
(3 results)