2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23720348
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福島 恵 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (10523764)
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Keywords | 中国隋唐史 / 墓誌 / 中国 |
Research Abstract |
本研究は、墓誌史料の研究基盤となる情報の整理とその傾向分析を行い、史料の基礎的性格を解明することを目的とする。中国隋唐時代、死者とともに埋葬され、死者の功績とその血統などを数百の漢字で石刻して記した墓誌は、現在、当該時代の研究には不可欠な 史料である。ただし、墓誌は、たった1件でもその豊富な内容から研究価値を有すること、墓誌の数が膨大であることから、これまで数量的な研究がされず、史料の基礎的性格があやふやなままであった。そこで、本研究では墓誌史料を数量的に扱い、研究基盤となる情報の整理とその傾向分析を行う。2013年度の研究実績は以下の通りである。 (1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析 隋時代の墓誌については、『隋代墓誌銘彙編附考』(1-6、線装書局、2007)に掲載される全521件の墓誌史料の研究基盤情報(卒年・葬年・出土地・サイズ・行数など)の入力を完了させた。また、唐時代の墓誌については、出産・育児のために予定が遅れたので計画を見直した。今年度は、これまで絶版で入手できなかった『隋唐五代墓誌彙編』(全30冊、天津古籍出版社、1991-1992)、『北京図書館蔵中国歴代石刻拓本彙編』(中州古籍出版社、1989)を古本・再版で入手できたので、そのうち『隋唐五代墓誌彙編』に掲載される約5700件(隋代及び蓋のみも含める)に限定して分析することとし、データ入力の完了まであと一歩のところまできた。 (2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続 ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化は、計画通りこれまでに継続して行うことができた。その成果として、論文「北朝隋唐期におけるソグド人の東方移住とその待遇―新出墓誌史料を中心に―」を『唐代史研究』16号に掲載した。その他、洛陽と長安に関するソグド人墓誌の論考も記し、入稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2011年度末に妊娠・出産したこと、そしてその後の育児のために、研究全体が遅れている。 (1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析 隋時代については、『隋代墓誌銘彙編附考』の墓誌史料の研究基盤情報の521件の入力作業を完了させた。唐時代については、『隋唐五代墓誌彙編』の墓誌史料の研究基盤情報(約5700件)のスキャンによるPDF化は完了しており、データ入力もまもなく完了予定である。隋唐両時代をあわせた傾向分析を随時進めている。 (2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続 ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化については、計画通り行うことができた。その成果をもとに、2012年度の唐代史研究会の夏季シンポジウムでの報告をもとにした論文「北朝隋唐期におけるソグド人の東方移住とその待遇―新出墓誌史料を中心に―」(『唐代史研究』16号)を発表した。その他、洛陽と長安に関するソグド人墓誌の論考を執筆、こちらはまもなく刊行予定(入稿済み)である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の遅れを可能な限り取り戻して、成果をあげたい。 (1)隋・唐時代の墓誌史料の研究基盤情報の整理とその傾向分析 当初計画のよりも遅れている。そこで、当初、唐時代については、周紹良主編『唐代墓誌彙編』(上・下巻、上海古籍出版社、1992)と周紹良・趙超主編『唐代墓誌彙編続集』(上海古籍出版社、2000)掲載分の全5100件を分析する予定であったが、昨年度中に計画を見直し、より墓誌の研究基盤情報が整理されていて取扱いやすい『隋唐五代墓誌彙編』に掲載される約5700件(隋代も含める)を中心的に取り扱うことにした。まもなくデータ入力が完了するところである。データベース化が完了したものから、『隋代墓誌銘彙編附考』のデータベースとあわせて傾向分析を進めていく。また、その成果の公開方法としては、データ量が非常に多いために個別の雑誌に掲載することは困難なため、本科研の成果報告書として冊子として公開する予定である。なお、そのデータ入力などの資料整理のために補助者の協力が必要である。 (2)ソグド人墓誌との比較および網羅的傾向分析の継続 これまでに継続して、ソグド人墓誌の網羅的収集とその墓誌内容と本文の電子データ化を行う。昨年度は、ソグド墓誌に見られる慣用句の分析を進め、墓誌文に使用された慣用句を見いだし、その出典と使用されている意味の統計をとる。なお、新出墓誌情報獲得のため、中国への現地調査と、京大人文研にて拓本調査は、優先すべき経費の使用状況と研究計画の進展状況とを見て、可能な限り実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2011年度末に第一子を出産した。この妊娠・出産(産休)・育児のため、研究の予定が全体的に遅れてしまっている。 妊娠・出産・育児のために遅れた本研究の取り戻すために、昨年度は、データ入力などのための補助者を活用し、また計画の見直しを行った。本年度もひきつづき、研究補助者の協力を得て研究の遅れを取り戻すべく研究を進めたい。また、代表研究者は、2014年度より所属する機関が変わったため、研究環境が変化した。そのため、パソコンなど備品で必要なものを新たに購入する予定である。さらに、近年、現地中国から墓誌史料の拓本を集成した書籍の出版が特に相次いでおり、ここで初公開となる墓誌史料も多い。当初は毎年度の現地調査によって墓誌の最新の情報を獲得する計画であったが、これらを購入して、可能な限り最新情報を獲得したい。また、本研究の成果を公開するために報告書の印刷・製本の費用も必要である。 なお、中国での現地調査および京大への拓本調査は、上述した優先すべき経費の使用状況と研究計画の進展状況とを見ながら実施したい。
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Research Products
(1 results)