2012 Fiscal Year Research-status Report
18世紀ハンガリーにおけるギリシア商人の社会史的研究
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23720362
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
秋山 晋吾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (50466421)
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Keywords | ハンガリー / ルーマニア |
Research Abstract |
平成24年度は、日本西洋史学会小シンポジウムでの報告、国内ゲストを招聘して研究会を開催、ハンガリーおよびルーマニアにおいて文書館資料調査を行った。 平成24年5月20日に明治大学で開催された日本西洋史学会小シンポジウム「ロシア東欧の史学史」において「東欧ロシア史学史の課題」と題して報告を行い、ハンガリー、ルーマニアの歴史叙述を中心に、地域内の叙述スタイルの相互作用に関して論じた。 研究会は、平成24年5月30日に一橋大学にて「ハンガリー・アニメーション映画における文化表象」との題目で講演会を開催し、31日にハンガリー文化センターにて文化センタースタッフらと意見交換を行った。ここでは、ハンガリーの文化表象におけるバルカン文化の影響について議論した。 文書館資料調査は、平成25年3月11日から28日まで、ハンガリー・ブダペシュトのハンガリー国立文書館およびブダペシュト首都文書館、ルーマニア・アルバ=ユリアのジュラフェヘールヴァール大司教区文書館およびルーマニア国立文書館アルバ県分館にて行った。ブダペシュトにおいては、おもにハンガリー総督府文書の非カトリック関係文書中のギリシア商人関連資料の調査とデジタル撮影を行い、アルバ=ユリアにおいては大司教文書および地方行政文書中のブルガリア人移民関連文書の調査およびデジタル撮影を行った。ブダペシュトにおいては約3,300枚、アルバ=ユリアにおいては約8,200枚の資料撮影を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、あらたにルーマニアの文書館における史料調査を行うことができ、当地の史料状況について見識を深めることができただけでなく、関連資料の収集を開始することができた。これにより、平成23年度までおもにハンガリーの文書館史料に依拠して進めてきた研究課題の史料調査の範囲を拡大し、トランシルヴァニアのギリシア・バルカン商人に関する研究に本格的に取り組む体制が整った。 また、これまでも継続的に協力関係を維持しているハンガリー・ペーチ大学とは、英語による論文発表(Greek Merchants, Their Wives, and Transiency of Migration in Eighteenth-Century Hungaryをペーチ大学刊行の紀要Balkan Forumに掲載)の形で平成24年度も相互に協力した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ハンガリーおよびルーマニアにおける文書館史料の調査・収集を継続する。また、脱稿済みの論文の刊行(「トランシルヴァニア・アルヴィンツのカトリック・ブルガリア人―ある難民ディアスポラの18世紀―」)、これまで収集したハンガリーの文書館史料を用いたギリシア商人の数量分析に関する論文の刊行、また、平成25年9月初旬にハンガリー・ペーチ大学にて、バルカン研究者との研究会に出席・研究報告を行う予定である。これらを通じて、3年間の研究プロジェクトの総括を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度以降も引き続き、関連資料の収集および現地(ハンガリーとルーマニア、および可能であればギリシア)への調査旅費を中心に研究費を使用する。 ハンガリーでは、ブダペシュト市文書館に所蔵されている18世紀のペシュト・ギリシア人共同体の文書群、ニーレジハーザのサトマール=サボルチュ=ベレグ県文書館所蔵のナジカーロー・ギリシア商会の文書群の調査・複写を予定している。 平成24年度には国外調査の滞在期間が計画より短期間となったため77,122円の余剰額が生じたが、これは平成25年度の海外調査費用として参入する。
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Research Products
(4 results)