2013 Fiscal Year Annual Research Report
個人の尊厳原理のもとでの家族・親子関係の法的課題に関する多面的考察
Project/Area Number |
23730035
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
春名 麻季 四天王寺大学, 経営学部, 講師 (20582505)
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Keywords | 憲法学 / 比較憲法 / ヨーロッパ人権法 / 国際情報交換 / ドイツ連邦共和国 / 欧州連合 |
Research Abstract |
本研究は、21世紀の社会状況の変化により問題が顕在化した家族・親子関係についての法的課題を多面的に取り上げて、憲法原理としての個人の尊厳原理から考察することを目的とする。 今年度は、本研究最終年度ということで、上記研究目的との関係でのまとめとしての研究を行った。具体的には、そもそも何が「家族」そして「親子」なのかという点につき、「家族」の出発点と位置づけられる「婚姻」の意味、そしてその「婚姻」との関係での「親子関係」というものを憲法上の概念として規定できるのか、規定できるとすればそれはいかなるものかという検討を、ドイツの最近の連邦憲法裁判所の判例を比較素材として取り上げて検討した。その際に、家族・親子関係を規律する憲法規範としての「個人の尊厳」原理から、いかなる要請、個人の具体的権利が導き出せるのかについて、特に、ドイツ・ヨーロッパで展開されている個人の「アイデンティティの権利」がここでは「婚姻・家族の保護」に対して重要な機能・役割を果たすことが確認できた。 なお、以上の検討と共に、今年度は、EU法の下での団体と個人の関係を規律する原理とEUという超国家的連合体の権限の問題についての考察を、家族・親子と同じように私的領域における事象と従来されてきたスポーツ団体、特にプロ・サッカーの仕組みとの関係で、EU基本権の基礎として、また、ヨーロッパ全域での政治共同体の構成原理とされている「人間の尊厳」の尊重・保護から検討するという研究も行った。さらに、これまでの研究年度からの引き続きで、日本の憲法学における2013年度の包括的基本権を中心にした人権研究の学界の動向の調査を、さらに、日本における私的団体と女性の差別の問題についての判例の考察をそれぞれ行い、そこから、「家族」や「親子」を含めた私的団体は「個人」の集合体としての位置づけから憲法上の考察を行う必要があることを確認した。
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