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2014 Fiscal Year Annual Research Report

民事責任の制裁機能に関する社会理論的考察

Research Project

Project/Area Number 23730115
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

今野 正規  関西大学, 法学部, 准教授 (10454589)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2015-03-31
Keywords民事責任 / 不法行為法 / 制裁 / エミール・デュルケーム / マルセル・モース / ポール・フォコネ
Outline of Annual Research Achievements

最終年度である今年度は、次の2点を中心に、本研究の総括がなされた。
第1に、前年度までになされたエミール・デュルケームの犯罪論及びポール・フォコネの責任論の批判的検討をもとに、近年、民事責任の領域で注目を集めている加害者の制裁や責任の明確化の要請の含意に検討が加えられた。デュルケームの犯罪論やフォコネの責任論については、従来から集合的意識という特殊な概念への過度な依存が批判の対象とされてきたところであるが、本年度の研究では、そうした彼らの議論の制約を踏まえつつ、刑事責任を念頭に置いた彼らの議論が今日においては民事責任の動向を説明する際のフレームワークともなりうることを明らかにした。
第2に、加害者による被害者への損害賠償の支払いの意味に着目し、そのプロセスを贈与交換の枠組み――モノの受け渡しを通じた関係性の再構築――として捉え直すことで、民事責任の機能を専ら損害填補に還元する従来の議論とは異なる観点から民事責任の機能へアプローチした。こうしたアプローチは、前年度に検討を加えたマルセル・モースの議論から派生したものであるが、今年度の研究では、原始社会における贈与交換を分析対象としたモースの議論を民事責任論へ架橋するにあたり、近年におけるパプアニューギニアの「補償」(compensation)に関する研究にも検討が加えられた。
以上のように、民事責任の制裁的機能を理論的観点から検討することを目的として開始された本研究は、従来の議論によって加害者の制裁として語られてきたものが、法内在的な議論にとどまらない広汎な理論的な問題へ連なるものであることを再認識させるに至った。最終年度の研究成果については、現段階では公表に至っていないが、今後、できるだけ早く公表できるようにしたい。

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Published: 2016-06-01  

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