2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730136
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤村 直史 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20551493)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交流 |
Research Abstract |
政党は矛盾する目的を抱えている。一方では、党内の議員ごとに異なる選挙事情に応える必要がある一方、政権運営、政策形成のためには所属議員に統一的行動を課さなくてはならない。本研究の目的は、政党はいかにして所属議員の個別の選挙区事情に配慮しつつ、統一的行動を議員に課しているのかを明らかにすることである。 平成23年度は、収集したデータからを用いて、建林正彦・藤村直史「政権末期における自由民主党の政策形成と議員行動の変容:2009年自由民主党議員への政治意識調査から」(『法学論叢』169巻9号)を公表した。この論文は、選挙制度が議員の選挙活動や政党の一体性に与える影響を分析したものである。選挙制度が政党の一体性に影響をあたえることは従来も指摘されてきたことであるが、本論文では、単に制度だけではなく、政治アクターがその制度を理解し使いこなすことが決定的意味をもつということを明らかにした点に意義があると考える。 また、理論部分を、Naofumi Fujimura. "Electoral Institutions and Legislators’ Representation of Constituencies: Empirical Evidence from Japan’s SNTV and SMD Systems" Essex-Kobe Research Collaboration Seminar (Kobe University, Japan, September 23, 2011)において報告した。現時点で草稿ではあるが、選挙制度によって議員の選挙事情がいかに変わるのかを理論的に検討したものであり、公表に向けて修正することで、選挙制度が議員の行動に及ぼす影響をより詳細に明らかにできると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の過程は、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌の投稿の4段階に分けられ、平成23年度は、(1)のすべてと(2)の前半を行う予定であった。研究は順調に進み、(1)については、まず先行研究を検討し、従来の研究では解明されていない点をより明確した。そのうえで、「国会の委員会への所属やそこでの審議を統制することにより、個々の議員の再選と党としての一体性を両立している」という本稿の仮説が従来の研究では明らかにされていない点を解明できるということを確認すると同時に、先行研究からの示唆により理論を修正した。また、(2)についても、データ収集は順調に進み、必要なデータの2/3程度を収集できた。結果、(3)にまで進むことができ、【研究実績の概要】にあるように、論文を1本公表することと、研究報告を1回行なうことができた。論文、研究報告ともに、様々な意見を研究者から受けることができ、自分の仮説を修正した。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの達成度】で述べたように、研究の過程は、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌の投稿の4段階に分けられ、次年度以降は(2)の後半部分と、(3) (4)に移る。(2)においてより多くのデータを収集して本稿の仮説を検証するサンプルを増やすと同時に、理論がデータに適合しているかを、(3)の段階で検証し、最終的に(4)にうつり、成果を算出したいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現時点で、研究は順調に推移しており、申請段階での計画に沿って研究費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)