2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730136
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤村 直史 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20551493)
|
Keywords | 国際情報交換 / アメリカ / イタリア |
Research Abstract |
本研究は、平成23年度から25年度の3年間にまたがる。交付申請書に記載した「研究実施計画」では、本研究の過程を、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿の4 段階に分け、24 年度は、(2) (3)を行う予定であった。実施は、予定を上回るペースで進んでおり、極めて順調である。一部の論文は、既に学術雑誌に投稿し、受理された。 具体的には、交付申請書の「研究目的」に示したように、本研究の目的は「いかにして政党は、個々の議員の再選と党としての一体性を両立しているのか」を問うことであり、この問いに対して、「政党は、個別利益分野では、議員の関係委員会・部会への所属希望を認め、審議内容にも自律性を与える一方、一般利益分野では、党の政策に忠実な議員を委員会・部会に任命して審議内容を統制することで、所属議員の再選と党としての一体性を確保している」という仮説を提示した。24年度は、この仮説を実証するためのデータ収集と分析を行った結果、仮説を強く支持する実証的証拠が得られた。この成果を“Electoral Incentives, Party Discipline, and Legislative Organization”というタイトルで論文としてまとめ、European Political Science Review(EPSR)に投稿し、3名のレフリーによる査読を経て、受理された。EPSRは25年からImpact Factorの対象となるなど、高い評価を受けている。また、論文の知見は、比較政治学の分野では、政党が個々の議員の再選と政党の一体性という一見矛盾する目標を両立する手段があることを示しており、日本政治の分野でも、日本における国会や委員会の重要性や機能を示しており、一定の独自性、新規性を持つと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成23年度から25年度の3年間にまたがる。交付申請書に記載した「研究実施計画」では、本研究の過程を、(1) 先行研究の検討と理論的考察、(2) データの収集と分析、(3) 中間報告とフィードバック、(4) 学術雑誌への投稿の4 段階に分け、24 年度は、(2) (3)を行う予定であった。実施は、「当初の計画以上に進展している」と言える。 「当初の計画以上に進展している」とする理由は、(1) 研究成果の一部を既に学術雑誌に投稿し、査読を経て受理されたこと、(2) 研究課題を別の側面から解明する着想を得て、そちらもワーキングペーパーにまとめ、海外の学会で報告したことの2点である。 (1)については、「研究実績の概要」で記述したように、研究成果をEuropean Political Science Reviewに掲載することができた。(2)については、研究を進めるうえで、本研究の問いを解明するためには、公認にも焦点を当てる必要があると考えるに至った。そこで、平成24年度にデータの収集と分析を行い、知見をワーキングペーパーとしてまとめた。このペーパーを、アメリカ西部政治学会に申請し、審査を経て、報告申請が受理された。25年3月に、“Nomination Errors under the Single Nontransferable Vote System: Evidence from Japan”というタイトルで、アメリカカリフォルニア州ロス・アンジェルスで報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に、1本の論文を公刊できたため、平成25年度は、アメリカ西部政治学会で報告したペーパーを学術雑誌に掲載することを目指す。まずは学会で受けたコメントをもとに論文を修正し、その後、Comparative Political Studies、European Journal of Political Researchなどの雑誌に投稿し、公刊したいと考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
わずかに、次年度使用額が計上されたが、研究費の使用は当初の申請通りに進行している。平成25年度も申請時の計画に基づいて、研究費を使用する。
|
Research Products
(2 results)