2014 Fiscal Year Annual Research Report
在日台湾系華人とメディア:文化、言語、アイデンティティの形成と変容をめぐる考察
Project/Area Number |
23730492
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
リン イーシェン 立教大学, 社会学部, 准教授 (80533025)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 華僑 / 華人 / エスニシティ / メディア / ディアスポラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はディアスポラである華人、とりわけ台湾系華人に焦点を当て、彼ら/彼女らのコミュニティやネットワークにおけるメディアの位置づけを検討し、その機能的変化を探ることを目的としている。 本研究は二段階において進められた。まず、移民である華僑・華人の定義とジャンルを整理するため、歴史的文献調査および資料収集(英語・中国語・日本語)をおこなった。とりわけ戦前戦後の台湾の歴史的文脈も視野に入れ、台湾出身者が敗戦国の「日本人」から、特別な権利をあたえられる戦線国の「中国人」となった歴史的経緯を考察し、論文にまとめた。また、2012年度から2014年度末にかけてフィールドワーク調査を実施し、インタビュー調査の手法も用いて、日本と台湾の関連施設を訪ね、一次資料とデータの収集を行った。具体的には台湾・台北の国家図書館、歴史博物館、国立台南文学館を訪ね、関連資料の展示を考察し、関係者にインタビューを行った。また、横浜の中華街と海外移住資料館と歴史博物館、神戸市の南京町と華僑博物館と華僑居住地の遺跡、長崎の唐人屋敷と新地中華街などにもフィールドワークを行い、資料収集を行った。また、1980年代以降来日したいわゆる新華僑の存在も視野にいれ、彼ら/彼女らの使用言語とアイデンティティの形成・変化を考察した。 研究成果としてはこうした様々な歴史的文脈から華僑・華人、とりわけ台湾系華人の独自のアイデンティティの形成プロセスについてメディア(新聞、放送、刊行物など)を通してある程度把握することができた。出生地、言語・文字、家族ネットワーク、職場ネットワーク、教育ネットワーク、メディア視聴習慣などの要素分析を通して、台湾系華人・華僑が19世紀後半から持ち続けているアイデンティティの全貌を描くことができた。
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