2011 Fiscal Year Research-status Report
地域自立支援協議会における障害者の居住支援活動と福祉コミュニティの形成
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23730529
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Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
古山 周太郎 奈良県立大学, 地域創造学部, 講師 (80530576)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域自立支援協議会 / 居住サポート |
Research Abstract |
本年度は、地域自立支援協議会における住居確保への取り組みの実態把握として、まず既存の調査資料や、各都道府県の行政資料を中心として、協議会の実態の把握を行った。制度化以降、協議会の組織化はすすんでおり、制度の主旨どおり協議会によって様々な組織運営形態や、活動内容などがみられた。また全体をみると、住居に関する課題に対して部会を設置して専門的に取り組む協議会の数は少なく、多くの協議会では、くらし部会や地域移行部会のなかで一つのテーマとして取り上げられていることが明らかになった。しかしながら、その一方で、居住部会を設置して、居住サポート事業者と連携しながら取り組んでいる協議会や、住宅セーフティーネット法に基づく居住支援協議会と密接に連携しながら活動をしている協議会もあり、障害者の居住に関する取組に対して地域間の格差がみられた。その原因として、そもそもの障害者の地域居住ニーズの少なさや、空き物件の状況、居住問題への関心の少なさ、協議会活動が初期段階にあるいことなど複合的な要因が考えられ、これらを整理していくことが、今後の本研究の目的からしても重要な点である。また、居住に関して取り組んでいる協議会では、居住サポート事業に取り組んでいる相談支援事業者が協議会のメンバーとなっている場合は、不動産系団体との連携はスムースにはかられるが、それ以外の場合は、居住ニーズの調査から開始し、現段階では具体的な支援事業までは至っていない協議会がみられ、活動内容についてもばらつきがみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、居住支援部会を設置している協議会にアンケートを試むことを試みようとしたが、都道府県レベルでは、市町村もしくは圏域ごとの協議会設置の有無は把握しているものの、協議会の活動内容まで把握しているケースが少なく、部会を設置しているかどうかの判断が困難であったため、調査対象の絞り込みが困難であった。そのため、無作為抽出でのアンケートも検討したが、居住部会の設置自体がすすんでいないことをふまえ、有効な回答を得づらいと想定されたため、アンケート調査は見送った。また、協議会の運営団体や連絡先も、市町村内の保健福祉関連課や相談支援事業者など様々であることも、情報の把握に手間取った理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まず居住支援に積極的に取り組む団体に対して、個別のヒアリング調査を実施して、その実態の把握や連携に関する課題を明らかにすることに努めたい。協議会への個別調査によって、協議会に参加している福祉系の団体や、不動産系の団体が具体的に明らかになり、協議会との協力のもと、参加団体に対するアンケート調査が可能であると思われる。また、地域自立支援協議会の居住支援に対する全体的な傾向を把握するため、すでに先行的な調査を行っている北海道や、勤務先に近い近畿2府4県に対して協力を求める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、居住に関する部会を設置している協議会への個別ヒアリング調査が基本となるため、国内旅費の支出が多くなる予定である。上記のような協議会は全国的に散らばっており、また具体的な活動内容や、参加団体への調査協力を求めるために、現地を訪問しての聞き取りが中心となる。また、アンケート調査の実施も予定しており、発送や入力作業や、結果の分析といった人件費や謝金も必要となってくる。
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