2014 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における家庭的支援と自立についての再検討
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23730541
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
田谷 幸子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (30440001)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 自立支援 / キャリア形成 / 退所者支援 / 地域支援 / 児童養護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童養護施設における自立支援への取り組みの実態とその効果を明らかにすることを目的としており、退所後の児童の抱える問題へのインケアおよびアフターケア、退所後支援の在り方を検討するものである。 2014年度には①児童養護施設退所者(以下、退所者)へのインタビュー調査、②退所者インタビューの調査結果報告および意見交換会、③児童養護施設職員への調査結果報告および意見交換会を実施した。 ①においては、退所者13名の協力を得てインタビューを行った。②③においては2012年度に実施した退所者への質問紙調査の結果およびインタビュー調査の中間報告を実施した。この報告については、退所者の了解を得て、第7回児童養護実践学会にて発表を行った。 調査結果としては以下のことが明らかとなっている。 ①居場所としての施設:退所者は、施設を「家」を思い、施設職員を「親」と捉えており、その根拠として、退所者は、施設職員が子どもたちを「家族」と思っていることが挙げられる。一方、担当職員が短期間で代わっている場合は、施設職員を「管理者」と表現しており、長期勤続への期待が感じられた。一方、短期間で担当職員が変わったケースでも職員集団の中の長期勤続者がフォローすることで施設を「居場所」することがわかった。 ②ケアとソーシャルワークの関係性:日常生活ケアにおいては、衣食の保障への実感度が高く、日常生活の中でも特別なことをしてもらった経験が記憶に残っているケースが多く、ケアへの満足度が高い。一方、学校でのいじめへの退所や、生い立ちの整理、退所時のケアなどにおいて納得度が高いケースと疑問が語られるケースでは施設への信頼度に差が出た。このことから、日常生活ケアの上に人生の分岐点にあたる段階でのソーシャルワークが重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学の倫理委員会での許可を得、児童養護施設退所者(以下、退所者)へのヒアリング調査を実施することがおおむねできた。また、退所者および施設職員への調査報告と意見交換会をそれぞれ開催することができ、今後は定期的に会を設けることとなっている。調査結果や分析について当事者と応答していくことにより、本研究が退所者の実態を具体的に検討するものとなることを期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
退所者および施設職員への調査報告と意見交換会をそれぞれ定期開催することとなっており、調査結果や分析について当事者と応答していくことにより、本研究が退所者の実態を具体的に検討するものとしていく。また、当事者支援団体、当事者相談支援団体への調査を実施し、退所後のケアの実態についても把握していく予定である。
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Causes of Carryover |
退所者支援団体へのインタビュー調査が未実施となっているため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度には、退所者支援団体及び当事者団体へのインタビュー調査、退所者及び施設職員への調査報告・意見交換会を実施予定である。そのための費用として、郵送代、ヒアリング調査協力謝礼、専門的知識の提供謝礼、調査報告・意見交換会の開催費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)