2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730585
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
麻生 良太 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (10572828)
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Keywords | 認知発達 / 対人関係 / 感情理解 |
Research Abstract |
これまでの感情理解研究では,主に自他が抱く感情は,現在の状況の中にある原因によって起きているという理解について検討していた。しかしながら,現実の人間関係では,「時間の広がり」を踏まえて感情を理解することが多々ある。こうした現在のみに留まらない,過去-現在-未来という時間の連続性の中で自他の心的状態を表象し,感情を理解(時間的広がりを持った感情理解(understanding temporally extended emotions.以下,UTEE))をすることは,時間と同様に連続性がある人間関係を維持,発展していく上で必要不可欠なものである。 今までの先行研究において,麻生・丸野(2007,2010)は,UTEEの発達段階や推論過程を明らかにするための研究を行った。その結果,UTEEの発達において,意図を持った対象(人や動物)との相互作用の中でのみ理解される発達段階があることが示唆した。ただ,麻生(2012, 2013)は,麻生・丸野(2007・2010)の結果だけでは本当に子どもは意図を持った対象との相互作用の中で,その対象の心的状態に依拠して感情を理解したのかわからないと考え,相互作用する対象に内的特性を付与し,実験を行った。その結果,UTEEの発達段階においては,相互作用する対象の心的状態,特に内的特性をふまえて感情の理解をできるようになることが重要な要因であることが明らかになった。 麻生(2012,2013)の研究から,UTEEの発達は,年を重ねるだけで自然と理解されるわけではなく,意図や内的特性を持った対象との相互作用中で,徐々に理解されるものであるという,対人経験の要因が関わっているという,非常に興味深い結果が示された。
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Research Products
(3 results)