2013 Fiscal Year Research-status Report
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23730591
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉澤 寛之 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70449453)
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Keywords | 社会系心理学 / 教育系心理学 / 反社会的行動 / 行動決定過程 / 文化普遍性 / 社会的情報処理 / 自己制御 / 実行認知機能 |
Research Abstract |
本年度は昨年に引き続き、「行動決定過程による反社会的行動の予測力の比較」と「行動決定過程の文化間普遍性に関する研究」を実施した。行動決定過程は不随性行動決定過程、随意性行動決定過程、機能欠陥行動決定過程の3つに分類されるが、不随性行動決定過程を測定する方法として反社会性潜在連合テストの確定版を開発し、各実験および調査にて実施した。研究1としての位置づけで、パソコン版の潜在連合テストと同時に実験することで、本測定法の併存的妥当性を確認した。また、研究3に位置づけられる3行動決定過程を弁別的に測定する査定システムの構築を完了した。 研究2として、「再犯者と非再犯者との比較研究」、「生涯型反社会性と青年期型反社会性との比較研究」と「サイコパスとの関連」を検討する目的で、少年鑑別所入所者30名(継続調査中)および一般中学生647名を対象とした調査の実施を完了した。 さらに、各行動決定過程に基づく測定指標とサイコパス傾向との関連に関する分析結果の一部として、機能欠陥行動決定過程に該当する脳の前頭葉機能および扁桃体機能を総合的に統制したうえで、随意性行動決定過程(社会的情報処理)によるサイコパス傾向の予測性が存在する知見を国際学会(2013 Conference of the International Society for the Study of Individual Differences)で発表した。また、随意性行動決定過程の形成に影響する環境要因(親・友人・地域住民・教師)を検討した結果を、各学会にて報告した。随意性行動決定過程の一部である認知的歪曲について、学級などの集団レベルで共有される現象を測定する方法の日本語版をGianluca GINI氏と共同で開発し、国際比較調査の実施段階に入った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた触法少年対象と一般少年対象の実験と調査を実施することができた。また、国際比較調査の実施予定が確定し、行動決定過程の査定バッテリーの開発に目途が立つなど、予定していた研究計画全体の70%程度は次年度の早い段階で完了する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初予定にあった研究1~3に関わるすべてのデータの収集を完了する。また、行動決定過程の文化普遍性を検証するための国際比較調査を実施する。平成26度計画として、研究4の「裁判員の司法判断に関する実証的研究」について、年度の早い段階で研究計画の詳細を確定し、年度内の実施完了を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際比較調査の実施が次年度に先送りになり、予定していた国際学会の発表を一部取りやめて次年度に先送りしたことにより、執行予定の旅費が大幅に減額となった。また、調査や実験のアシスタント雇用費を節約できたため、その余剰分を平成26年度計画の各実験の実施に充当する目的で次年度予算に延期した。 研究費は過去年度分の研究費を大幅に繰り越したため、その研究費を中心に執行する予定である。国内外の調査の打ち合わせや実施のための旅費・調査用紙運搬費、調査用紙作成やデータ入力の業者依頼費、本研究で得られた知見の成果発表のための旅費に充てる。さらに、残額については、当初平成26年度計画にある研究に必要な経費に充てる。内訳は、各実験や調査に必要な経費および旅費、調査用紙作成やデータ入力の業者依頼費、模擬裁判実験の環境整備、研究知見の成果発表の旅費などである。
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