2011 Fiscal Year Research-status Report
1950年代学校ガバナンス構造の形成および定着過程に関する地域実証的研究
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23730741
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 拓児 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (60345874)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 学校ガバナンス / 学校づくり / 学校財政 / 学校の福祉機能 / 貧困 |
Research Abstract |
平成23年度の研究においては、1950年代学校ガバナンス構造の研究のスタートにあたり、主に国内資料の収集に務めた(神奈川県立図書館、国立国会図書館、愛知教育センター等)。また本研究の基本的枠組みの設定のために、戦後通史全体における1950年代の位置づけについて検討を行い、それぞれ関連する教育制度的問題として「教育委員会制度」ならびに「後期中等教育制度」の検討をおこなった。「教育における意思決定の公共性と公選制教育委員会制度」「新自由主義教育改革と後期中等教育の制度変容」として2本の論文にまとめた。 さらには、1950年代の時代的特徴と現代的特徴との対比をすすめつつ、とりわけ貧困問題の深刻化にみられる現代的な課題が、まさに50年代の学校機能の再検証を不可避の課題としていることについて考察をすすめた。これについては「新自由主義教育改革と学校の貧困―学校の教育的機能と福祉的機能―」をテーマに学会で発表し、また部分的に北海道稚内市の事例にもとづいた検討結果について、「教育における公共圏形成の課題と学校づくりのダイナミズム―地域教育経営論からみる稚内市における学校づくりの特質―」として論文化してまとめた。 このほか、次年度以降の課題となるが、学校ガバナンス概念にとって重要な要素として「学校財政」について検討をすすめた。そのため、専門家による専門的知見の提供を受け、長崎県香焼町や山梨県早川町の資料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集等の基礎的な作業を着実にすすめることができ、また査読論文はないものの論文として成果を示すことができている。また次年度以降の課題に結びつくような重要な知見を得るに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに資料収集をすすめつつ、部分的に研究成果発表をおこなうことが課題となる。また学校ガバナンス概念の国際比較の視点が重要になることから、占領期アメリカ軍政府資料の収集(国会図書館およびアメリカ公文書館)が必要になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き国内・国外での資料収集が中心課題となるため、旅費に重点が置かれる。旅費には研究成果を発表するための学会旅費を含む。また収集した資料をデータ化するための機器の購入、資料整理用BOXなどを購入する。
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