2012 Fiscal Year Research-status Report
日本統治下台湾人用国語教科書と日本人用国定国語教科書の比較研究
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23730775
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
陳 虹ブン 平安女学院大学, 国際観光学部, 講師 (60534849)
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Keywords | 台湾教育 / 植民地教育 / 植民地教科書 / 国語教科書 |
Research Abstract |
1.今年度は台湾と日本国語教科書に関する資料を収集し、順番に比較作業を進める。現在第二期教科書の分析結果を投稿中である。分析結果によれば、第二期の台湾国語教科書には、約4割の教材が国定本関連教材であり、第四期(公学校用国語読本)・第五期教科書(国民学校用国語教科書)の3割より占める割合が多かったことがわかったのである。ただし、この4割の国定本関連教材には2つの特徴がある。一つは実学教材、公民教材、児童生活関連教材が多く採用されているが、ほぼすべての教材は台湾の編修官の手によって修正されたものであることである。もう一つ、第二期国語教科書は同学年用の第二期国定国語教科書から教材を採用する傾向にあるが、日本語能力の差でそのまま採用される教材が非常に少なく、内容も台湾人生徒用に易しく書き直されたものが殆どであった。現在、第三期の初歩分析は済んでおり、8月までに原稿にまとめる予定である。第四期と第五期の分析結果は修正した基準によって現在見直し中である。 2.2013年2月に台湾での現地調査を行い、専門家の聞き取り調査も実施した。台湾図書館(旧台湾総督府図書館)にて関連資料の収集を行った。 3.前年度に引き続き教材研究会を開き、各期教科書の分析結果について意見を交換し、必要な場合は追加の調査や検証も行っている。 4.国定教科書の写真撮影作業を行い、全五期教科書を比較する作業の準備も済んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.資料収集について:教科書に関連する資料の収集はスムーズに行っている。教材や関連史料のデータ化作業も順調に進めている。 2.教材分析について:第二期、第三期の教材分析が進むにつれ、比較や確認作業も量も増えたが、教科書を写真撮影やスキャンでデータ化したことにより、教科書を一冊一冊読み返す手間が省け、第四期、第五期の見直し作業へも影響も最小限に抑えることができた。 3.研究成果の発表について:現在は予定通りに毎年一本ずつ論文を発表・投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.資料収集:次年度から個別教材に対する分析も行う予定なので、教材編集に直接関連するものだけでなく、教材に含まれる各分野の資料も集める予定である。 2.全五期教材の比較作業を進め、分析結果を原稿にまとめて投稿する。 3.必要に応じて、国内外の専門家にインタービューを実施する。 4.本研究が目的とした台湾国語教科書と国定国語教科書の比較研究についての結論をまとめ、報告書を作成する。なお、本研究を含めた応募者これまでの研究成果をまとめ、植民地期台湾の国語教科をテーマとする研究書を出版する準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は計画通りに、経費を設備備品費、消耗品費、旅費、謝金、その他等の項目に分けて使用する。 設備備品費は書籍と資料の保存とデータの分析に必要なものを購入する予定である。戦前の資料が中心なので、古書を購入する経費も計上する。 消耗品費は収集したデータのプリントアウト、保管や史料の整理などに必要なものである。なお、最終年度なので、報告書の印刷費や製本費等の必要経費も計上する。 旅費は国内外出張への必要経費である。研究代表者の勤務先の旅費支給規程により、それぞれ積算・計上する。 謝金史料のデータ化やインタービュー・聞き取り調査を行うための予算である。 その他は図書館でのコピー代やデジタル複写代などを含む。
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Research Products
(4 results)