2012 Fiscal Year Research-status Report
眼球運動を用いた読み習熟度評価法の検討~健常児の発達変化と読字障害児での検討~
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23730861
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
内山 仁志 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (60348604)
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Keywords | 読み / 眼球運動 / 発達性読字障害 / ディスレクシア / Visual Attention Span / 習熟変化 |
Research Abstract |
本研究課題は視線計測装置を用いて、音読時の眼球運動を計測し、逐語読みからまとまり読みへの読みの習熟度変化を定量的に評価できる指標をみつけることが主な目的である。H24年度は下記の3つについて研究を遂行した。 1)健常児の単語読みの習熟変化に関する解析:H24年度はH23年度に得られた健常児のデータ(88名)を解析し、そこから習熟の定量指標として眼球運動の注視回数の変化が最も有力な因子であることを明らかにした。また、それは特に語彙効果として単語読みの変化に表れる。その他読みに関わる習熟因子として、1度に把握出来る文字認知範囲(Visual Attention Span)が影響することが示唆された。 2)文字認知範囲実験:読みの初期の逐語読み、習熟期のまとまり読みの両方の習熟に関与する因子と言われている文字認知範囲課題を健常成人および健常児に試験的に行った。課題の難易度、刺激提示方法を調整し、小児に実施可能な形に精錬した。また数名の健常児と発達性ディスレクシア児に実施した。 3)眼球運動課題実験:視機能の評価課題として数字呼称速度と衝動性眼球運動の正確性を測定するDevelopmental Eye Movement Test(DEM)を実施し、saccadeの正確性について数名の健常児と発達性ディスレクシア児でパイロットデータを取得した。その結果、発達性ディスレクシア児では目標物を注視し続けることが難しく、読んでいる場所がわからなくなってしまうなど、健常群とはことなり課題の遂行自体が困難な印象であった。今後詳細な解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関が変更となったため、機器や書類などの整備の時間に多くを費やしたた。そのため当初予定した計画を行うことが困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は最終年度となるため、これまでの成果を論文にまとめ国内雑誌に投稿する。また実験に関しては発達性ディスレクシア児数名と同年代の健常児のデータを取得し、眼球運動特性に違いがあるかについて検討する。さらにディスレクシア症例においては、語彙指導の効果判定として音読課題時における眼球運動の注視回数を用いて定量的にその習熟変化を検討予定である。加えて語彙検査や知覚範囲検査、DEMテストのような視機能の評価を行い、各データと眼球運動因子の関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、前任地の鳥取大学にて実験を行うため、多くを旅費として使用する。その他、成果発表のための経費、論文作成費などが中心的な支出となる。
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Research Products
(3 results)