2013 Fiscal Year Research-status Report
統計力学的手法によるエノン写像の大域分岐問題の研究
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23740121
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 博樹 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00467440)
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Keywords | 力学系 / 双曲性 / 分岐 / エルゴード理論 / 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
2次元の力学系の構造安定性と分岐を解明するためには、Henon写像の力学系を調べることが本質的である。Henon写像の力学系はこれまで多くの数学者、物理学者によって研究されてきたが、そのダイナミクスの大域的な構造とそのパラメーター依存性については、未だに解明されていない部分が多い。 本研究では、Henon写像の最初の分岐パラメーターにおけるダイナミクスを幾何学的、確率論的手法を用いて精密に解析し、論文``Equilibrium measures for the Henon map at the first bifurcation (with Samuel Senti)"において平衡状態と呼ばれる重要な不変確率測度の存在を証明した。論文``Equilibrium measures for the Henon map at the first bifurcation: uniqueness and geometric/statistical properties (with Samuel Senti)"では、平衡状態の一意性、およびこれらがHenon写像のカオス的なダイナミクスを反映したよい統計的性質を持っていることを証明し、不変集合のHausdorff次元と圧力関数の零点を結びつけるBowen-Manning-McCluskyの公式を導出した。また、これら2編の論文における研究を踏まえて論文``Prevalence of non-uniform hyperbolicity at the first bifurcation of Henon-like families"を執筆し、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2編の論文はすでに学術雑誌に受理され、当初の計画はほぼ予定通り達成することができた。 また、当初の予定以上の成果を得られている部分もあり、これらの結果を踏まえた関連研究も 発展が多いに期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Henon写像の最初の分岐パラメーターにおけるダイナミクスをマルチフラクタル解析や 大偏差原理を用いてより精密に調べる。進捗状況によっては、 分岐パラメーター通過後のダイナミクスについても調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費が予定よりも安価であったため。 主に、学会参加および研究討論、また学外からの研究者招聘のための費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)