2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい機構のフェッシュバッハ共鳴の研究:極低温分子生成のために
Project/Area Number |
23740305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 貴稔 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (30328562)
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Keywords | フェッシュバッハ共鳴 / レーザー冷却 / 2種原子混合系 / 光イオン化 |
Research Abstract |
フェッシュバッハ共鳴の観測のためには、同時トラップ中でのロス過程の解明が重要であるが、アルカリ原子とアルカリ土類原子の同時トラップが新しい系であるためまだ実験的に解明されていない。そこで、今年度は、RbとSr原子の同時トラップ中でのロス過程を実験的に研究するため、次の2つの過程 (1)light assisted collision、(2)光イオン化ロス、について調べた。 (1)アルカリ原子系での同時MOT中のロスとしてlight assisted collisionが知られているが、アルカリ原子とアルカリ土類原子系で様々な条件下で実験した結果、ロスは観測されなかった。これは通常のアルカリ原子実験に比べ、トラップ中のSr原子数密度が低いことが幸いしたものと考えられる。 (2)Srレーザー冷却に用いる波長461nmの光は、780nm光による励起状態のRb原子をイオン化させる。したがって、同時MOTに用いるレーザー光そのものがロスの原因となることが考えられる。これは通常のアルカリ原子混合系では起こらず、Rb-Sr同時トラップに特有の現象である。 本研究ではこの効果を実験的に測定した。光イオン化を生じる461nm光の光強度を変えながらロスレートを測定した結果、波長461nmにおけるRb 5P_{3/2}状態の光イオン化断面積を求めた。また、通常の同時MOTに用いる光強度では、ロスは10-20%程度であり、Rb-Sr同時トラップを進める上で十分に小さいロスであることを、実験的に解明した。現在、論文投稿中である。 これにより、RbSrを光トラップへ移行し、フェッシュバッハ共鳴実験を行うための、重要な基礎データを得ることができた。また、新しいフェッシュバッハ共鳴の機構を利用したFr-Sr分子生成によるEDM測定について国際会議PCPVで招待講演を行った。
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Research Products
(24 results)