2012 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導イオントラップ系におけるイオンの計測・制御に関する研究
Project/Area Number |
23740314
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
衞藤 雄二郎 学習院大学, 理学部, 助教 (50600003)
|
Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮体 / ラムゼイ干渉 / スピンエコー / コヒーレンス時間 / 磁力計 |
Research Abstract |
本研究は、原子を用いた量子情報処理や精密測定の実現に向けて、原子の内部自由度を利用した量子ビットのコヒーレンス時間の測定並びに、コヒーレンス時間の長寿命化を目的としたものである。 本年度は、スピン2のルビジウム原子ボース・アインシュタイン凝縮体 (BEC) のスピンコヒーレンス時間の測定に成功した。具体的には、複数発のラジオ波パルスを用いたラムゼイ干渉法並びにスピンエコー法により、スピンのラーモア歳差運動の観測とコヒーレンス時間の測定に成功した。スピンエコー法により、磁場勾配や時間的な磁場の変動による不均一性の効果が低減し、コヒーレンス時間を延ばすことに成功した。長寿命のコヒーレンス時間は、BECを用いた精密測定の感度を向上させるうえで重要である。スピン2BECを用いたスピンエコー法の実現は、これまで実験報告がなく、本成果を論文として投稿した。 更に、スピンエコー法を利用することで、BECを用いた高感度・高空間分解能な交流磁場磁力計の構築に成功した。確立した磁場測定の手法を用いて、実験室内の約10nTの環境変動磁場の測定に成功した。更に、観測された環境変動磁場に対して逆位相磁場を人為的に印加することで、磁場ノイズを1nTのオーダーまで低減することに成功した。本成果は、低磁場環境を必要とするBEC実験、例えば磁気的な基底状態の探索やスピンダイナミックスの研究等において有用な技術であると考えられる。現在、論文投稿準備中である。
|