2011 Fiscal Year Research-status Report
活断層モニタリングの手法開発とその実践による断層パラメータの推定
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23740331
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮澤 理稔 京都大学, 防災研究所, 准教授 (80402931)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 地震波干渉法 / 山崎断層 / 表面波 / 実体波 |
Research Abstract |
活断層において地震は繰り返し発生する。活断層近傍における断層運動前の短中期的な物理現象を理解し、地震発生サイクルにおける時間的位置づけを明らかにするための研究を行う。本研究では近い将来中規模地震の発生が指摘されている山崎断層帯(兵庫県)に着目する。 本年度は、山崎断層系の一つであり左横ずれ成分を伴う安富断層を地下で水平に貫く安富観測抗内に、固有周期2秒の三成分速度型地震計6台を設置した。地震計と観測された記録を収集するロガーとは一台ずつ対になっており、1セットに付き24GBのCFカード(4GB*6枚)を用い、1khzサンプリングで記録の収集を行った。なお新規に購入した地震計とロガーはこのうちの4セットである。また、観測抗内に設置されたロガーの時計をGPSで正確に合わせるために、観測抗内にGPSのリモートアンテナを設置し、地表に設置されたGPSのアンテナで受信したのシグナルを再放射できるようにした。観測はオフラインで行ったため、観測開始後二度データ交換の作業を行った。この観測抗の約6m直上には断層に沿うように中国自動車道が走っており、本研究では主として車が通過する際に発せられるノイズの記録を連続収集した。おおむね良好に地震計の記録が得られていたが、一観測点で明瞭な記録が得られていなかった。 これら記録されたノイズの解析を、地震波干渉法により試験的に開始した。別に設置されていた地震計の記録と併せて行った解析では、各観測点間を伝わる表面波(特にRayleigh波)の伝播を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所記の予定通り、安富断層を貫く観測抗に地震計とGPSアンテナを設置し、実際に記録が取れることも確認した。しかし一観測点で期待された様な記録が得られておらず、今後の解析に影響が及ぶ可能性もある。また予算の都合により観測点数を減らしたため、同様に解析結果の信頼性に影響が現れると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた記録を中心に、解析作業に移る。地震波干渉法を改良して利用することで、顕著な表面波ではなく、構造探査に有効であるにも関わらずこれまで検出が困難であった実体波の検出を目指す。また観測記録が明瞭でない部分の影響を定量的に評価する。これにより、地下の1次元以上の構造が抽出できることを確認する。また、記録収集期間における解析結果の時間変化についても、季節変動を考慮しつつ解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
継続して記録を収集するために、メディアの交換作業を定期的に行う。このためのメディア代、高速道路利用料、ガソリン代を計上している。また解析作業により得られた成果の一部を国内外の学術会議で発表する予定である。
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Research Products
(1 results)