2014 Fiscal Year Annual Research Report
古地磁気強度データベース刷新のためのマイクロ波着磁/消磁システムの実用化
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23740340
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 裕二 高知大学, 自然科学系, 助教 (00452699)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 固体地球物理学 / 地球電磁気学 / 磁性 / マイクロ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマイクロ波着磁/消磁システムの製作をすすめ,十分実用に耐えうる段階まで到達させることを当初の目的とした.高効率のシステムを目指したため,使用周波数として 18 GHz 帯を選定したが,その結果,システムの根幹をなすマイクロ波を高強度に増幅可能な固体パワーアンプの導入において,当初の目的であった 50 W にまで増幅可能なアンプの導入は研究実施期間中にマイクロ波技術の革新が進まず不可能となってしまい,次善の策として 10 W にまで増幅可能なアンプを導入するに留まった.
本システムには,試料として,通常の古地磁気測定用1インチ径火山岩試料から 3 mm 径かつ高さ 1-2 mm の円盤状試料を切り出したものを利用するのが,効率よくマイクロ波が吸収されるために最適であることが分かった.これらの試料は,位置を精密に制御する必要があるため,小型真空ポンプにシリコンチューブと中空石英管を連結し,ポンプ吸引によって,その先端に取り付ける形で着脱を行う.共振器に試料を設置しない状況では17.7 GHz 前後が共振周波数となり鋭い吸収のピークが見られるが,試料を設置するとその岩石磁気特性などに応じて共振周波数が低下するため,マイクロ波着磁/消磁のためには試料ごとに最適な共振周波数を見いだす操作が必要となる.信号発生器からの発生マイクロ波の制御と,そのマイクロ波の入力・反射強度をモニターするためのソフトを LabView により開発した.
最終的な試験の結果、本システムでは試料が当初保持している残留磁化の約 60 パーセントが消磁可能であることが判明した.今後,マイクロ波技術の革新が進んで 50 W にまで増幅可能なアンプが登場した暁には,このようなアンプを導入することで 100 パーセントの消磁が可能なシステムに改良しうることが期待される.
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