2011 Fiscal Year Research-status Report
大規模火成作用に伴う強親鉄性元素移動プロセスの実態解明
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23740403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 晃 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20524507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 強親鉄性元素 / 大規模火成活動 / 玄武岩 / オントンジャワ海台 / オスミウム同位体比 |
Research Abstract |
平成23年度は、玄武岩の白金族元素濃度-オスミウム同位体比測定手法を確立するため、比較的多くの公表値がある玄武岩質標準試料(TDB-1:カナダ産粗粒玄武岩、BIR-1:アイスランド産玄武岩)の繰り返し分析データから、迅速且つ精度・確度とも良好な分解条件を決定する基礎実験を主に行った。「カリアスチューブ法」「マイクロウェーブ法」「高温高圧灰化法」の異なる分解デバイスを利用しつつ、分解時間、温度、試料量、使用する酸などを変化させて得られた系統データを比較検討した結果、以下に示す重要な知見が得られた。(1)強親鉄性元素の逆王水への抽出効率は温度・分解時間・試料量に依存しており、各元素、各試料においても明瞭に異なる傾向にある。(2)ルテニウムは逆王水への抽出効率が著しく低いため(BIR-1では約50%)、リーチング後の残渣に対するフッ酸処理が本質的かつ有効である。(3)レニウムはフッ酸により低温でも効果的に試料から抽出されるが、逆王水のみでは温度・分解時間・試料量に応じて回収率が変動する。(4)オスミウム,イリジウムに関しては逆王水への抽出効率は高いが、粉末試料の不均質程度によりデータの再現性が規定される。(5)白金、パラジウムは逆王水への抽出効率は問題ないが、分解デバイスや条件に応じてブランクが大きく異なる。 上記の実験結果と作業効率を踏まえ、本研究課題で対象とする玄武岩試料に最適な分解法を決定し、白金族元素濃度-オスミウム同位体比測定手法を確立するに至った。BIR-1の繰り返し分析から求めた各元素濃度の標準偏差(N=8, 1σ)は、オスミウム7.4%、イリジウム4.4%、ルテニウム1.5%、白金5.2%、パラジウム1.6%、レニウム0.7%、187/188オスミウム同位体比0.5%となり、従来手法に比べてデータ再現性が格段に向上したといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では(1)研究対象試料の入手、(2)硫黄濃度測定、(3)強親鉄性元素濃度測定に伴う、試料分解法の最適化及び効率化、を実施する予定であった。(3)に関しては当初の計画以上に進展したが、(1)に関して予定より時間がかかったために、(2)は未だ完了していない。ほとんどの研究対象試料は研究計画の段階で入手していたが、一部の粉末試料に関して試料調整時の混染の影響を評価する必要があることが判明し、粉末化前の試料を再入手するために時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に終了する予定であった、薄片鏡下観察、試料選定、硫黄濃度測定を本年度の早い段階で実施する。その後は予定通り、強親鉄性元素濃度、オスミウム同位体比測定を実施し、24年秋頃を目処に全てのデータを取得する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
入手に時間がかかってしまった新たな試料の調整及び、分析に係る費用を前年度から繰り越す予定である。
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