2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模火成作用に伴う強親鉄性元素移動プロセスの実態解明
Project/Area Number |
23740403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 晃 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20524507)
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Keywords | 強親鉄性元素 |
Research Abstract |
本研究では、地球上最大の巨大火成岩岩石区であるオントンジャワ海台玄武岩の強親鉄性元素濃度・オスミウム同位体比の系統的データを基に、大規模火成活動に伴う強親鉄性元素濃度の挙動を理解することを目的としている。本年度はまず、前年度に研究協力者から入手した試料の記載と全岩主要・微量元素濃度に基づき試料選定を行った。従来研究により分類された4つのマグマタイプ(Kroenke, Kwaimbaita, Singallo, Low-TiO2)の存在を確認し、認められるバリエーションを網羅する50試料について新たに粉末試料を調整した。4つのマグマタイプの中で最も初生的と考えられるKroenke-type(MgO>8 wt%, Zr<45 ppm)の8試料について、前年度に最適化された分析手法を適用し、強親鉄性元素濃度を求めた。先行研究ではKroenke-typeマグマのIr, Ru, Pt, Pd濃度範囲はそれぞれ0.5-2.4 ppb, 0.9-1.5 ppb, 8.5-13.8 ppb, 11.5-24.8 ppbと比較的大きなバリエーションがあることが報告されており、一部の高濃度データを説明するためにマグマ源に金属核が混入した可能性が指摘されている。一方、本研究で得られたIr, Ru, Pt, Pd濃度範囲はそれぞれ0.09-0.17 ppb, 0.53-0.75 ppb, 6.3-9.0 ppb, 11.5-16.0 ppb と、既存データに比べて明瞭に低い傾向にあり、バリエーションも小さいことが判明した。検出限界やデータ再現性に関して、本研究で用いた手法が格段に良いことを考慮すると、既存データの強親鉄性元素濃度測定には問題があり、マグマ源の見積もりについて再考する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度までに確立した分析手法を用い、対象試料全ての強親鉄性元素濃度、オスミウム同位体比データを全て取得する予定であった。対象試料の中でも高濃度が期待される試料に関する実験は予定通り終えたが、本年度中頃からオスミウムの実験ブランク値が上昇したため、低濃度試料の分析に関しては来年度に持ち越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
ブランク源を突き止める作業・分析を進めてきた結果、これまで購入使用してい試薬及び容器の一部が汚染されている可能性が高いことが判明した。従って、今後は同種の試薬および新たな容器を複数入手し、テスト実験を行った後に、低濃度の海台玄武岩に対する分析結果を得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は未使用額を「分析データの採取にかかる消耗品」および「実験結果公表にかかる旅費」に使用する予定である。
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