2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規ピンサー型金属錯体の合成とアンモニアを用いた触媒反応への応用
Project/Area Number |
23750064
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
亀尾 肇 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50597218)
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Keywords | 無機化学 / 錯体化学 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
アンモニアは安価で魅力的な含窒素化合物の原料である。しかしながら熱的に安定な化合物であり、その変換には多大なエネルギーを必要とするものが多い。本研究では、アンモニアを用いた高効率な変換反応を可能とするための、分子触媒の設計およびその合成に取り組んだ。 アンモニアを金属錯体で活性化するには、電子豊富な金属錯体を用いることが有効である。そこで、本研究では、後周期14族元素が強い電子供与性配位子として機能することに注目した。前年度までに合成したピンサー型 PGeP PSnP 配位子前駆体とロジウムまたはイリジウム錯体前駆体の反応を検討して、効率的な PGeP, PSnP 型のピンサー型ロジウム、イリジウム錯体の合成法を確立した。それらの錯体とアンモニアは、室温下でも速やかに反応することが明らかになった。しかしながら、それらの生成物は熱的に不安定であり、構造の同定には至っていない。今後は、配位子の置換基を変更することにより、それら錯体触媒の安定化を図り、アンモニアとの反応における生成物の同定さらには反応の詳細の解明に取り組む。それらの知見を活かし、アンモニアの変換反応の開発に研究を展開する。 また本研究ではホウ素配位子が電子豊富な中心金属を安定化することに注目し、新規なアニオン性ピンサー型 PBP ロジウム錯体を合成した。その錯体では、ホウ素部位は電子受容性配位子として機能しており、中心金属と配位子間には通常とは逆の分極 M(δ-)→B(δ+)が生じていることを確認し、あまり前例のない電子構造を有することを明らかにした。その特徴は、アンモニアを用いた新しい触媒反応開発を可能にするものと期待される。
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