2012 Fiscal Year Research-status Report
クラスタープラズマによるコーティング除去技術:ガラスレンズ成型金型への展開
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23760125
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
池田 健一 福岡県工業技術センター, 機械電子研究所, 主任技師 (30416515)
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Keywords | プラズマ / クラスター / 金型 / コーティング除去 |
Research Abstract |
SiドープDLC、超硬合金(金型素材)およびSiCセラミックス(金型素材)に対する除去速度および粗さを測定し、加工特性の定量化を行った。 パルス電源条件は電圧:4kV、パルス周波数:1kHzおよびデューティ比:1%、ガス圧力:0.1Pa、プラズマ化するRF電源の出力:30Wを基本として、1つのパラメータだけを変化させて実験を行った。また、プラズマの原料は、クラスターとしてはC4F8、化学的作用が期待できるO2、一般的なものとしてArを使用した。 C4F8プラズマにおいて、電圧(0.5~4kV)に対する除去速度の依存性は、単調に増加した。ただし、0.5kVでは膜が付着しており、全く除去されていなかった。周波数(0.5~2kHz)およびデューティ比(0~2%)に対する対する除去速度の依存性も、単調に増加した。デューティ比よりも周波数に対して大きな依存性を示した。これは、パルス印加の初期に入射するイオンが集中しているためだと考えられる。 C4F8、ArおよびO2の3種類のガスを1種類ずつ使用して除去実験を行った。O2は、化学的スパッタによりSiドープDLCの除去速度が大きくなった。C4F8は、分光測定の結果(Fなどの発光がない)より、ほとんど解離せずに衝突しており物理的スパッタが支配的であるが、Arに比べ2倍以上の除去速度になった。これは、総運動エネルギーが同一の場合は、クラスターの原子数が大きいほどスパッタ率が大きくなるクラスター効果によるためだと考えられる。 粗さは、いずれのプラズマ原料ガスでも大きな変化は生じなかった。O2では、SiドープDLC中のSiがSiO2に変化し、表面に残存し粗さが大きくなることが予想されたが、ほとんど粗さの変化はなかった。これは、O2が高電圧(kVオーダー)の高エネルギーで照射され、物理的スパッタによりSiO2が除去されているためだと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種プラズマによる平板上のコーティングおよび下地の加工特性を定量化し除去過程の解明を行うことができた。 ただし、クラスターとしてのフラーレン(C60)の実験は、以下の2つの理由で行わなかった。 ・C4F8でクラスターとして十分な効果が得られたため ・C60が実用的でないため(価格および真空槽の汚れ)
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、レンズ成型金型上のコーティングを下地を粗くせずに除去できる条件を検討する。 現在の金型によるガラスレンズ成型では、アスペクト比が1/4以下のものが大多数である。そこで、金型の形状は球とし、アスペクト比は1/4に固定する。大きさは、開口径で2、4、8および16mmの4種類とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フラーレン(C60)を使用しなかったため、繰り越しが発生した。この分は、超硬合金などの物品購入費に充当することで、実験の充実を図る。
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Research Products
(2 results)