2013 Fiscal Year Annual Research Report
クラスタープラズマによるコーティング除去技術:ガラスレンズ成型金型への展開
Project/Area Number |
23760125
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
池田 健一 福岡県工業技術センター, 機械電子研究所, 研究員 (30416515)
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Keywords | プラズマ加工 / クラスターイオン / コーティング / 金型 / 超硬合金 / 粗さ / DLC / Siドープ |
Research Abstract |
クラスタープラズマの加工過程を明らかにし、下地を粗くしないコーティング除去方法の開発を目的として実施した。 平成23年度は、絶縁体であるSiCセラミックス上のDLC除去実験を行った。被加工物が絶縁体の場合は、表面に正電荷が蓄積し、イオンが衝突できなくなる。それを解決するために、負の高電圧を印加していない時に、正電圧を重畳させることで、プラズマ中の電子を入射させ、電荷を中和させる方法を試みた。正電圧を重畳しない場合は、異常放電が多発したが、正電圧を重畳した場合は、異常放電が発生せずに除去加工が可能だと分かった。 平成24年度は、SiドープDLC、超硬合金およびSiCセラミックス(金型素材)に対する除去速度と粗さを測定し、加工特性の定量化を行った。 パルス電源条件は電圧:-4kV、パルス周波数:1kHzおよびデューティ比:1%、ガス圧力:0.1Pa、プラズマ化するRF電源の出力:30Wを基本として、1つのパラメータだけを変化させて実験を行った。また、プラズマ原料ガスは、クラスターとしてはC4F8、化学的作用が期待できるO2、一般的なものとしてArを使用した。なお、重畳させる正電圧の条件は、電圧5V、印加時間10μsで固定した。 平成25年度は、レンズ成型金型上のSiドープDLCの除去実験を行った。金型の形状は球とし、開口径は2、4、8および16mmの4種類として、深さは開口径の1/4とした。 平成24年度の結果より、粗さが大きくならずに、除去速度が最大となる条件を選択し、次の条件とした。プラズマ原料ガスはC4F8、パルス電源条件は電圧:-4kV、パルス周波数:1kHzおよびデューティ比:1%、プラズマ化するRF電源の出力:30Wとした。この条件でガス圧力をパラメータとして除去実験を行うと、最深部に再付着が発生しなかったのは0.1Paであったため、この圧力を選択した。上記条件で約500nmの厚さのDLCに対して除去深さを測定すると、最大のバラツキは50nm以下であり、ほぼ均一に除去可能だと分かった。
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