2013 Fiscal Year Annual Research Report
臨界点近傍ヘリウムの高圧縮性がもたらす複雑熱流動場のダイナミクスと伝熱制御
Project/Area Number |
23760197
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岡村 崇弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90415042)
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Keywords | 臨界点近傍流体 / ヘリウム / GPU / DNS / 乱流統計量 / 乱流遷移 |
Research Abstract |
H25年度はヘリウムの気体液体臨界点近傍における臨界現象に起因した乱流現象の微細構造を調べるためにGPGPUを用いた直接数値計算を行った.計算は鉛直平板上に生じる自然対流に着目し,乱流遷移過程を含めた乱流素過程を調べるために空間発展型の体系を選択している.臨界点近傍において,流体は高圧縮性を示すが,本研究では加熱によって生じる対流がもたらす乱流場に着目するために,流体力学的圧力場はポアソン方程式をGPU計算に適したRed/Black SOR法で解き,閉じた系において生じるPiston効果による熱力学的なバルク圧力のマクロな変化量を補正する方法を採用している.ピストン効果と対流の共存場における乱流遷移過程並びに乱流統計量が対流主体の流れ場と比較してどのように異なるかを明らかにするための解析コードを自作し,また対流主体の乱流場の統計的性質については国内学会で発表した[1].共存場における変動量の統計的性質に関する解析は今後継続して実施する.また計算結果の空間解像度の妥当性の検証並びに臨界点近傍におけるプラントル数の影響を調査するためにより大自由度系を解析できる4台のGPGPUを用いた解析コードの作成にとりかかった.GPUの構成はFermi世代のTESLA C2075が4台で,解析コードは現在も構築中で研究期間終了後も継続してコードの完成を目指し取り組んでいく予定であるが,臨界点近傍はプラントル数が非常に大きくなり速度場と温度場の最小スケールは大きく異なるため,温度場をオイラー的に解いている現在の解析コードでは解析不可能であり,この点は今後の研究課題にしたいと考えている. [1] 岡村崇弘, “臨界点近傍ヘリウムにおける自然対流中境界層の統計的性質”, 2013年度秋季低温工学超電導学会講演概要集, P225
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